神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

翻訳家列伝13(その3)


ポール・アンダーソンの『脳波』などの訳者山田純は、『国立国会図書館著者名典拠録』でようやく経歴を発見。「山田純 大正10年生。共同通信記者。筆名:山田純一」。他の事典では見つからず。L.ブロード『チャーチル伝』(恒文社、昭和40年4月)の訳者紹介によれば、

山田純 大正10年7月生。東大法学部卒。元共同通信ロンドン特派員。現在(昭和40年)共同通信社外信部長。


ハインラインの『地球の緑の丘』などの翻訳者石川信夫について、高橋氏は「共同通信勤務」としているが、確認できない。石川は、歌人で、岩崎芳秋『石川信夫研究』によると、

短歌以外では、昭和三十一年四月、ロバート・ハインライン著『人形つかい』を翻訳して元々社より刊行、十月にA・クラーク『月世界植民地』を船津氏と共訳して元々社より刊行、引きつづいて十一月にはスタインベック著『缶詰横町』を翻訳して荒地出版社より刊行する。
また、昭和三十三年一月には、ロバート・ハインライン著の『地球の緑の丘』を翻訳して元々社より、更に同年八月には、エラリイ・クイーン著による『トランプ殺人事件』を翻訳して六興社より刊行した。


『日本近代文学大事典』(本名の石川信雄で立項)によれば、

石川信夫 明治41年6月16日生、昭和39年7月9日没。歌人。埼玉県生れ。早大政経学部中退。文芸春秋社に入社。戦時に北中支に陸軍嘱託として派遣。退社後ジョンソン基地などに勤務。昭和初期香蘭に入社、筏井嘉一に私淑、木俣修らと芸術派を称え、[昭和5年4月]「エスプリ」を創刊。6年前川美佐雄らと「短歌作品」、9年「日本歌人」創刊に参加。36年「宇宙風」創刊。歌集『シネマ』(昭和11年12月)、『太白光』(昭和29年)がある。

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週刊読書人』の「新書のすすめ」に、1月発売の小谷野敦大河ドラマ大全』(光文社新書)のことが出てた。←すんません。立ち読みだったので、『大河ドラマ入門』だったかもしらん。

『スクリプタ』冬号は、エーリッヒ・フロム『愛するということ』の訳書刊行50周年記念企画として、識者からのメッセージが載っている。猫猫先生岡崎武志氏が登場。