神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

世界幻想作家事典と四方田犬彦


今度は荒俣宏『世界幻想作家事典』(国書刊行会、1979年9月)を見てみる。荒俣著となっているが、「まえがき」によれば、草稿作成などで協力した人として、次のような人があがっている。

四方田剛己(シュルレアリスム、フランス思想、精神分析学)
沼野充義(ロシア・モダニスト、東欧文学)
武邑光裕(神秘学)
森田暁(美術、児童文学)
高木国寿アメリカ冒険SF)
森美樹和怪奇小説
阿見政志(フランス現代文学
竹上昭(エドガー・ポオ)
土屋豊ヴィリエ・ド・リラダン


四方田については、「シュルレアリスムの分野で草稿を分担していただいた四方田氏は、程なく河出書房よりコリン・ウィルスンの翻訳を出版するほか、ドイツ・オカルティズムや映画芸術論に関する著述を発表している新鋭である」ともある。ウィルスンの翻訳とは、由良君美との共訳名義の『至高体験』(1979年11月)と思われるが、『先生とわたし』では、突然本が送られてきて刊行を知ったような書きぶりだったと思う。しかし、荒俣が四方田から聞いていたとすれば、四方田は刊行されることを事前に知っていたということになるから、『先生とわたし』の記述は誤解を与える書きぶりだったということになる。

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