ある好青年に初めて出会ったのは、3年前の4月29日、一箱古本市の会場であった。
「一箱古本市」というのは、「ミスター一箱古本市」こと南陀楼綾繁氏の新刊『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)によると、地域に点在する店の軒先を借り、その前で一人が一箱の古本を販売するという、誰もが自由に参加できるイベントのことである。販売されるのは古本が中心であるが、CD、自作のブックカバー、雑貨など、にぎやかな品揃えの店主も多い。古書店や出版社も出店するが、多くは一般人である。といっても、ただの素人ではなく、本好きの人が多く、古本者も満足させる箱が多い。文庫でも、肌色時代の中公文庫とか講談社文芸文庫とかが出されたりする。初めて行った時は、スムース別冊の「まるごと一冊中公文庫」を買った覚えがある*1。今年の春には、『ダガバジジンギヂ物語』が売っていた(売れなかったとは思うけれど)。
南陀楼氏の本を読んで、やはり一箱古本市は買いに行っても楽しいが、一度は店主になってみたいとの思いが改めて強くなった。本を取り巻く危機的な状況は依然として続くが、対処法の一つがこの本に描かれていると言ってよいだろう。氏は、「儲けにならないことばかりして・・・」と奥さん(内澤旬子さん)に怒られてばかりいるようだが、本書が売れて、少しは元が取れるように願ってやまない。
なお、冒頭の好青年は今では、好×年になってしまったようである。
(参考)2006年5月2日
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「中央公論アダージョ」は「横溝正史と牛込神楽坂を歩く」特集。乱歩の立教大学に対し、正史の二松學舍大学のようだ。
笑っちゃいかんが、笑えるニュース→「http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091109-OYT1T00738.htm」
*1:おそらく、好青年が「おなじ場所におられた、ちょっとマニアックな品揃えの方」と言う店主の箱と思われる。