日高みほという女傑は、三村三郎によると川島芳子に並ぶ大陸女浪人とされるので、私は馬に乗って銃をぶっ放すイメージを持っていたが、小田秀人によると霊能者でもあったらしい。確かに、三村の書にも「日高女史はつねに世界紅卍字会を舞台に大陸で踊つていた」とあるのだが、霊能者だとまでは書かれていない。この日高女史、もしや、松本清張の『神々の乱心』の女教祖のモデルの一人ではないかと思ったが、すでに原武史氏の『松本清張の「遺言」 ― 『神々の乱心』を読み解く』にも名前が出ていた。原氏は、「真の道」の萩原真が昭和2年に大連に滞在していた時に、関東州関子の日高見農場で、内山初枝(若林初枝)という霊媒師に会ったらしいと書いている。原氏は萩原の方をモデルの一人ではないかとしているが、初枝もモデルの一人としてもよさそうな気がする。
さて、この川上初枝=若林初枝=日高みほ子=内山若枝だが、女性で特に肩書もなさそうなので、人名録の類には載っていないだろうと思っていたが、東京心霊科学協会の満洲支部長だったという父川上賢三の方を調べると発見できた。『支那在留邦人興信録』(東方拓殖協会、1926年)*1によると、
川上賢三 満洲貯金信託(株)社長、日露協会理事
原籍 長崎県、現住 大連市越後町
生年 元治元年八月十八日肥前唐津生
夫人 しつ子 明治五年生
長女 初枝 同三十九年生
敗戦時でまだ四十歳前だったようだ。ソ連の参戦や敗戦は予言できなかっただろうか。
(参考)10月22日
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ん、図書館ファンタジーかしら。エレン・クレイギス「図書館と七人の司書」『SFマガジン』12月号。
*1:『日本人物情報大系第11巻』で復刻。