神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

河豚計画と笹川良一


増田正雄が、笹川良一の日記*1にも出てきた。

昭和21年3月8日 ◎増田正雄氏が四王天[延孝]氏等と共に猶太排斥運動してゐるから、猶太人に同情する予は彼等に反対し、土地を与へよ、排斥するな、八紘一宇はなりたたぬと叫び、増田氏の板倉[弥三郎]を通じて(「の」の欠か−−引用者注)借金を断つたのもここにある。猶太人は予に感謝状を送るべきである。


「土地」を与えよと言っても、日本国内ではなく、満洲におけるいわゆる「河豚計画」関係の話*2かしら。それにしても、猶太人が笹川に感謝状を送るわけはなかろうと思ったりもする。板倉は笹川が総裁を務めた国粋大衆党の総務であるが、増田が同党(又は笹川個人)に借金を申し込んでいたとは面白い。


戦前の日本における親ユダヤ主義者と称する人の多くは純粋な人道主義からユダヤ人の保護を図ろうとしたのではなく、ユダヤ人を利用しようとする打算的なものであった。黒岩さんが、日曜日の読売で紹介したダイアン・アッカーマン『ユダヤ人を救った動物園―ヤンとアントニーナの物語』は、そのような打算的な要素はなかったと思われるポーランドにおけるユダヤ人の救出物語である。
ユダヤ人を救った動物園――ヤンとアントニーナの物語 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

                                                  • -


『神奈川県総合文化芸術情報誌』7月号の内澤旬子さん→「http://www.kanagawa-at.info/contents/artspress/kap_cv_0907.html

*1:伊藤隆編『続・巣鴨日記 笹川良一東京裁判』、中央公論新社、2007年12月。

*2:マダガスカル島ニューギニアという案もあったらしい。2006年5月19日参照。