神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

オタどんと書物蔵のキャッチボール


藤原明『日本の偽書』(文春新書)に、“言説のキャッチボール”という概念が出てくる。中世の両部神道系の偽書を中心に形成された神道秘説の生成を研究している門屋温氏が提唱した概念だそうだ。ある人物の言説を取り込んで新たな創造物が生成されるメカニズムである。藤原氏によると、酒井勝軍が「モーゼの十誡石」がないかと天津教の教祖竹内巨麿に問うと、しばらくして巨麿が裏十誡神代文字で書かれた石を発見(実は捏造)した経緯にも、この“言説のキャッチボール”が働いたのだろうとしている。言わば、妄想の相互作用による拡大再生産というべきものか。


大東亜図書館学の再興を目指す書物蔵さんと、大東亜トンデモ学の構築をたくらむオタどんという、二大奇人(笑)、じゃなかった、二大ブロガーの出会いによって、両学のアマルガム「大東亜ト学」が生まれようとしている。わしらは、偽書をでっちあげたりはしないが、これもまた、言説のキャッチボールであろうか。