神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

中一弥と倉田啓明


朝日の新連載小説である乙川優三郎「麗しき花実」の挿絵を担当する中一弥氏。森まゆみさんの聞き書き「東京転々 中一弥の人と仕事(前編)」(『谷中・根津・千駄木』90号)によると、倉田啓明の新聞小説の挿絵も担当したことがあるようだ。

その太陽館て、東大の学生が多かったですよ。(略)妾を持っている学生もいたし、週に一回女が通ってくるのもいました。(略)
(略)そういえば神戸新聞で倉田啓明の小説に挿絵を描いたのも太陽館時代です。なんという題名でしたかな、大阪の道頓堀にあやつり小屋だの芝居小屋だのがあって、それが競争する、そうそう櫓合戦とか何とかいう。役者が出てきて、それに恋する女もいて、色模様もある面白い小説でした。さっきの妾持ってる学生なんかこの役者のモデルになってくれまして。


中氏の太陽館時代は、昭和7年から9年にかけてである*1が、倉田の小説は確認できない。


(参考)一昨年6月12日同年8月21日

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『ベスト・オブ・谷根千』が『週刊朝日』(永江朗)、『週刊現代』(往来堂書店のカリスマ書店員笈入建志)に登場。

*1:追記:中一弥『挿絵画家・中一弥―日本の時代小説を描いた男』(集英社新書)所収の年表による。