神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

青木正美と森茉莉『昭和26年当用日記』


ん、「森茉莉街道をゆく」のちわみさんに呼ばれたやうな気がする。
森茉莉の日記を青木正美氏が入手したことは、今月号の『日本古書通信』以前にも、『古本市場掘出し奇譚』(日本古書通信社、1986年10月)に書いている。重複をいとわず、紹介すると、

もう何年も前のことだが、私はやはり古書市場で森鴎外の娘さん(森茉莉氏)の日記帖一冊を買った。手垢で頁の汚れきった『昭和26年当用日記』で、所々やぶられて、原型からすると約三分の二くらいに薄くなってしまっていた。(略)彼女も又日を追った書き方でのものは一月十六日でやめてしまっている。このうちでは十三日の記事が詳細で、この日彼女は東京日本橋三越へ行く。『桜の園』が上演されている三越劇場へ、その夜の部を見に来られる皇太子殿下を肉眼で見たくて出かけたのである。彼女は熱心に係の人間に時間をきいたりするので、逆にとがめられて、ここは混みますからと外へつまみ出されてしまう。(略)
日記はやがて、日付のない重要な出来事だけを記すものに変ってしまう。中で私に最も面白いのは、森鴎外という「パツパの子」であるから会ってくれたのであろう七十七歳の永井荷風を千葉県市川市へ訪ね習作を見てもらう、細字で三十頁にも亘って書かれてある文章であった。


このほか、
・日記帖の後半は創作の下書きらしいものが続くこと
・うしろ頁からは中途で途切れる小遣い帖となっていること
・芳名簿には森於菟、野田宇太郎など二十名ほどの名が記されていること


が書かれている。青木氏は、茉莉の生前に入手していたわけだが、茉莉はその事実を知っていただろうか。

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日本古書通信』、一時期京阪書房かリーチで入手していたが、もう買っていない。私が見てるブログの主で、購入しているのは、林哲夫氏、南陀楼氏(と「くうざん先生」も?)ぐらいか。

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宮本三郎記念美術館で「画家の書棚にみる 昭和アート・ブック史 宮本三郎文庫より」開催中。『新女苑』の写真も出てる。3月22日まで。

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散歩の達人』にも『おやじがき』の紹介が出てた。