神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

新聞記者にはならなかった催眠術師足助素一


大正4年4月10日付け足助素一の源二郎・義雄宛書簡(『足助素一集』所収)によると、

催眠術が頗る上手となつた。先年札幌に来て居た坂本某などのしたことは幼稚なものだよ。
プランセツトを使つて僕将来の運命を卜せしに僕ハ五月より神戸にて新聞記者たること五七月それより僧侶となり(略)死(七十五歳)に至るまで布教(略)著述を止めず五百年間出の高僧となる由なり。


足助は明治11年1月生まれ。前年の大正3年貸本屋独立社を処分して上京。この年の10月下旬に渋谷道玄坂に焼芋屋イポメ屋を開業することとなる。プランセットの予言は当たらず、足助は、新聞記者にも僧侶にならず、出版社叢文閣を創業し、昭和5年10月53歳で亡くなった。

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岡田道一『心霊療法』(ひろば書房、昭和30年11月)に、

医学社会においては全体治療たる浄霊療法を指して迷信というが、果してそれが迷信であろうか。これについて以下述べるところは、(略)アレキシス・カレル博士の著「人間」(角川文庫第四百三十二)から抜いて解答を申し上げるので、決して単に救世教一信徒としての私の申し上げることでないとお断りしておく。


とある。


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年末で、もはや目ぼしい新刊は出ないかと思いきや、トンデモない本が出てた。「企業秘密」と称しつつ、バレバレ(笑)だった感がある小谷野敦氏の『里見紝伝 「馬鹿正直」の人生』が中央公論新社から出てた!まだ、鋭意執筆中かと思ってましたよ。
猫猫先生もお人が悪い、こんな隠し玉があったとは。ちなみに、先生、とうとう筆名の読みを「こやのとん」に改めたらしい。



今日・明日は今年最後の五反田の古書展。書物蔵さんとか、古書のお嬢さまが出現してるのだろう。
そうそう、書物蔵さんは、ほげほげしてたかと思いきや、けものみち文庫2の南陀楼綾繁積ん読フレンズ
『山からお宝 本を積まずにはいられない人のために』に「「本の山」と私」を書いた一人になっているらしい。

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これまた驚き。『小説すばる』1月号は内澤旬子さんの新連載「カナブンで見つけた 文学者身辺雑物ノオト」。神奈川近代文学館が所蔵するお宝の紹介物だが、第1回は、にゃんと水野年方の村井弦斎宛手紙。