神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

皇國運動聯盟に集う神代文字肯定論者と否定論者


特高月報』昭和16年9月分の「皇國(すめらみくに)運動聯盟の結成状況」に、「宗教改革運動を展開中なりし信仰新体制協議会(代表下中彌三郎)は国家主義団体と提携した天皇帰一の最高理念に向つて運動を興起せしむべき母体の結成を図らんとなし、高山昇、伊藤力甫、佐藤彬、津田光造、石山正夫等を中心として準備を進めつゝありたり」とある。そして、同月27日に有楽町産業組合中央会館で結成式が開催されたという。


この皇國運動聯盟の役員だが、

顧問 一條實孝、今泉定助、大倉邦彦、高山昇、中島今朝吾、皆川治廣、吉田茂山田孝雄


理事長 高山昇(兼)


理事 綾川武治、加藤一夫下中彌三郎、田多井四郎治、松永材、森清人、諸岡存ら20名


評議員 葦津珍彦、葦津正之、古賀治朗、兒玉信夫ら14名


幹事 伊藤力甫、小寺小次郎、佐藤彬、津田光造ら9名


各部長 総務部長:松永材、指導部長:伊藤力甫、宣伝部長:津田光造


『上記』などを研究する神代文化研究所の田多井と小寺の名前が見える。顧問の国語学者山田孝雄は、神代文字否定論者だったと思うが、田多井らと同じ会にかかわっているとは面白いね。


なお、皇國運動聯盟は、昭和17年8月に、松永総務部長と伊藤指導部長の対立により、皇國同志会と皇國運動同盟に分裂している*1


(参考)上記団体に関与した人の一部は、戦後公職追放となった。公職追放該当事項を挙げると、高山昇:皇國同志会理事長、伊藤力甫:皇國運動同盟常務理事主幹、松永材:勤皇まことむすび中央世話人・著書・皇國同志会理事・時局協議会世話人下中彌三郎:興亜同盟理事運動第一局長・皇國同志会理事・大アジア協会理事長、石山正夫:興亜運動同志会理事・皇國運動同盟理事・著書、白鳥敏夫:戦犯・大直会有力幹部・興亜青年運動本部顧問・大和クラブ幹事・皇國同志会理事長、諸岡存:大直会主幹者・皇國運動同盟理事。なお、上記団体の役員であることは該当事項とされていないが、加藤一夫:著書、津田光造:著書、兒玉信夫:大東亜青年同盟中央委員・愛國青年聯盟副委員長・愛國法曹聯盟理事兼副委員長。

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『銀花』に『佐野繁次郎装幀集成――西村コレクションを中心として』の紹介が出てた。
ジュンク堂書店梅田ヒルトンプラザ店をのぞいてきた。2倍の広さになってた。広けりゃいいってもんではないが、スムース同人の方たちの本もいっぱいおけるようになってたので、よしとするか。なぜか、『印刷に恋して』(松田哲夫著・内澤旬子画)がこれでもかといっぱい面出しで置いてあった。

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誰ぞは図書館総合展にトチゲキしてるかすら。

*1:正確に言えば、昭和17年8月29日皇國運動聯盟は分裂し、高山昇、白鳥敏夫、松永材、小林順一郎等が皇國同志会結成。同年12月19日皇國運動聯盟残留派は皇國運動同盟と改称(総裁・近藤英次郎、主幹・伊藤力甫)。