神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

書籍切手の発案者うさぎ屋誠こと、望月誠


書籍切手の発案者の兎屋については、8月31日に言及したところである。このうさぎ屋誠、本名望月誠については、論文があるらしい。石塚純一「うさぎ屋誠考−明治初期のある出版人をめぐって」『比較文学論叢五 札幌大学文化学部紀要五』(2000年)がそれ。現物は見ていないが、江原絢子・東四柳祥子『近代料理書の世界』(ドメス出版、2008年7月)中の望月誠(纂述)『手軽西洋料理法』(うさぎ屋誠、明治13年)の解説によると、

刊行元のうさぎ屋は、明治初期に、本書の著者である望月誠が銀座で興した活版印刷専門の新興出版社である。石塚純一の研究によると、うさぎ屋は、起業早々、家庭向け実用書や実録読物などを盛んに出版し、当初は誇大広告、大胆な値引き販売、景品付き販売、書籍切手の発案で大衆志向の出版社として活躍したが、一八九〇年頃に突如として消息が絶えてしまったという(略)。


1890年頃に絶えたという消息だが、最近出た瀬崎圭二『流行と虚栄の生成』(世界思想社、2008年3月)によると、

『東京流行月報』は、明治二五[一八九二]年一一月二〇日に東京市芝区田町にあった流行月報社によってその第一集が刊行された雑誌で、発行兼編輯人は望月誠なる人物が務めている。

とあるので、もう少したどれるようだ。

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角川選書40周年記念の鼎談(山折哲雄鷲田清一井上章一)→「http://www.kadokawagakugei.com/topics/special/teidan/」。井上先生は、「思想的変態」らしい。