神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

大槻憲二と恩地孝四郎


『文学者の手紙3』所収の恩地孝四郎の大正10年(推定)6月15日(消印)の浜本浩宛書簡によると、

七月創刊、「内在」*1よろしくたのむぜ。金がないので心細いんだからいいパトロンにでも紹介してくれ。作曲家の石川義一君が、同人になつてゐるんで幸だ。外に、ワセダ出の大槻憲二、榎本秀夫、久本DONさん、田中二郎(エカキ)そんな所。


「久本DON」は久本信男。『内在』については、紅野敏郎氏が、「逍遥・文学誌(63) 「内在」 大槻憲二・恩地孝四郎」『國文學』平成8年9月号)で、

早大系の「基調」の同人、文芸評論家からのち精神分析学に移った大槻憲二と恩地孝四郎らが協力しあっている雑誌の現場、普通の文学史では想像出来ない風景、それが現実に存在していたのだ。


と紹介している。

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夕刊は読むところが少ないのでつまらないが、朝日新聞の連載、「雑誌はどこへ」が終わり、今は「記者風伝」第2部が始まっていて、これが面白い。

*1:原注:大正十年七月、内在社から創刊された詩・美術雑誌。同人はほかに藤森静雄。