神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

 柳田國男と「偽史」関係者織田善雄


大塚英志氏は、『偽史としての民俗学』で柳田國男の『炭焼日記』に織田善雄なる「偽史」関係者が出てくることを紹介している。

(昭和十九年)
三月一日 水よう 午後曇
散歩を見合せる。
名古屋の織田善雄君より漬物一桶鉄道便にて。その織田君やがて訪来る。竹内文書のことなどを話す、この人古神道といふことをいふ。


大塚氏の引用を補足すると、この後に「含笑寺は妹聟に嗣がしめて僧を止めるといふ」の一文があるのと、昭和20年5月12日の条に「名古屋の織田善雄氏高浜の転地先にて死去のよし、妻女より報あり、昨年こゝへ来てゆつくり話したことがある」とある。大塚氏が「偽史」関係者というこの織田の経歴だが、『大衆人事録』(昭和18年)の愛知県欄に出てきた。

織田善雄 含笑寺住職 東区松山町二十三 [閲歴]本県桃樹長男明治卅六年三月十三日現地に生る駒澤大学修業昭和十二年当寺の法燈を嗣ぐ曩に淑徳一高女各校庭球部嘱託たり傍ら月刊短歌雑誌の発行に関与し著書「つきくさ」「木綿花」等あり 宗教曹洞宗 趣味スポーツ社会学研究


織田は右手(左手かも)にラケット、左手に竹内文献を持っていたらしい(笑
織田の名前は、『国文学者石田元季伝』にも出てきた。同書掲載の昭和17年11月現在の「名古屋国語国文学会」の同人名簿の中に、東條操、瀧田貞治、中村幸彦野間光辰、穎原退蔵、久松潜一らと共に、織田の名前が見える。

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東京堂書店の「今週のベストセラー」(7月8日調べ)で、一位は岡崎武志山本善行『新・文學入門』、三位が小谷野氏の猫猫本。どっちもがんばれ。

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確かに誰ぞが言うように、「岩田書院新刊ニュース」No.515の「新刊ニュースの裏だより」に、従来の初版部数の標準を今年から、日本史系は500部から400部に、民俗学系は400部から300部に減らしたとある。



ん、「daily-sumus」さん、「蘊蓄斉は先週末からダウンしており」、しばしお休みらしい。どうしたのだろう。


集英社文庫から18日に広瀬正『マイナス・ゼロ』復刊。筒井康隆より直木賞受賞に近かった(と思われる)SF作家。