神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

松宮春一郎と水野葉舟と吉川英治のマンダラ


折口信夫『初稿・死者の書』所収の安藤礼二「光の曼陀羅−初稿『死者の書』解説」の次の一節。

しかし折口が、なぜ、この『世界聖典全集』を発行していた世界文庫刊行会、さらにはそれを主宰していた松宮春一郎とつながりができたのか、折口に関するあらゆる伝記資料を調べてみても、その間の詳しい事情については一切触れられていない。またこの『世界聖典全集』のすべての巻を、非売品として予約者のみに販売していたと思われる世界文庫刊行会なるものの実態も、現在ではよくわからないところが多い。

謎の世界文庫刊行会、その主宰者の松宮春一郎なる人物。これについては、小田光雄「古本屋散策(36)折口信夫と世界聖典全集」(『日本古書通信』平成17年3月号)でも取り上げられている。オタどんも新たな情報を発見したので紹介しちゃう。


吉川英治の年譜*1を見てたら、大正8年の欄に「松宮春一郎、水野葉舟氏らの世界文庫刊行会へ、筆耕仕事に通う」とあった。時期的には、「世界文庫刊行会」は「世界聖典全集刊行会」と思われるが、吉川が松宮や水野とともに働いていたとは安藤氏もビックリ!?
松宮については、明治35年7月学習院大学科卒としかわかっていないが、もう少し調べてみる必要がある人物だ。

*1:吉川英治全集』第46巻