神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

谷崎潤一郎が飼っていた広東犬(その2)


谷崎の広東犬を目撃していた人がもう一人いた。
大阪朝日新聞出身でプラトン社の『女性』の初代発行人だった松阪寅之助(青渓)。
モダニズム出版社の光芒』によると、高島屋の総合情報紙『百華新聞』27号(昭和2年1月11日)に、署名はないが青渓の取材に相違ないと思われる谷崎邸訪問記が掲載されているという。孫引きすると、

谷崎潤一郎氏と猫
(前略)このごろは岡本の好文園に新居してセッセと創作にいそしんでいるが、氏の書斎には相変らず猫が数匹ニャオニャオと毛布にくるまっている。(中略)このごろは猫もアメリカ種の毛並みの長い房々としたのが女王のようにいるところが面白い。庭には犬もいるが上海から持って帰った小熊のような可愛いのが大きな檻の前にいた。(後略)


青渓が見たときは一匹だけだったのだろうか。


追記:大塚信一『山口昌男の手紙 文化人類学者と編集者の四十年』(トランスビュー)を見る。学生時代、読書会で『知の遠近法』を読まされたときは苦痛だったが、今なら『内田魯庵山脈』で読書会されても、スイスイという感じかな。