神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

谷崎潤一郎が飼っていた広東犬


谷崎潤一郎が飼っていた犬や猫については、小谷野敦谷崎潤一郎伝』に詳しい。これによると、谷崎は、大正15年2月、長崎の永見徳太郎宅で広東狗(チャウチャウ)を見て欲しくなり、上海の陳抱一から二匹送ってもらったという。それは、生後二三箇月ぐらいの番(つが)いだったという。この時期、谷崎の飼っていたペットを目撃していたのが、喜多村緑郎。『喜多村緑郎日記』によると、

大正15年10月12日 晴。谷崎氏の処を訪ふ。川口同伴。幸ひ前日に打電しておいたので、在宅だつた。岡本駅(阪急)を下りて東へ少し戻ると、文化住宅だ。カントン犬が三疋、ペルシヤ猫、イタリアの猫、といつたかたちで動物園だ。会つていつも乍ら気色のいゝ人だ。「白狐の湯」の話などで長時間を費やす。(略)


広東犬が二匹、いたのか三匹いたのか、どっちでもいい話ではあるが、『喜多村緑郎日記』の方の誤記と見るべきか。


追記:坪内祐三氏が読んだ日記は、わしも読もうと追っかけているのだが、まだまだ追いつけない。平成17年から18年にかけて、毎日新聞で連載された「日記から 50人、50の「その時」」で紹介された日記のうち半分くらいは読んだだろうか。この連載は、連載を終えた18年4月2日の第51回には、「近く毎日新聞社から単行本として刊行されます」とあるが、まだ出ていないようだ。早く、刊行してね。