神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

菊池寛とポール・リシャール


菊池寛がポール・リシャールについて言及していた。

(帝國文學)では、ポール・リシャール博士の「第十一時」と云ふ思索を読んで、深い感銘を得た。此頃は復讐に狂奔して居るやうな仏蘭西人の中にも、平和だとか国際聯盟などに就て鋭い、然しながら正しく澄み切つた考へを、持つて居る博士のやうな人のあるのを、頼もしく思つた。「人人、ロシアの王侯等が栄華卅年の後、街頭新聞紙を売るに至りしを憐む。然れども卅年来新聞紙を売りし哀れなる輩を憐れまず」と云つたやうな光つた言葉等が、幾つもごろゝゝして居る。


「文壇動静−七月の雑誌を読む」(『大阪毎日新聞大正8年7月6日、8日、9日、10日、11日、『菊池寛全集』補巻)から。