神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

戦時下に偽書『上記』を読む西田幾多郎先生


西田幾多郎の日記*1によると、昭和18年4月分の日記の扉に

神日本魂三月号ウエツフミ全釈 現津御神 天野辰夫 、前田虎雄


とある。


また、昭和18年4月9日付け堀維孝宛葉書*2には、


佐藤信淵難有御座いました 暫く拝借致します ウエツフミとは如何なる書ですか


とある。残念ながら、堀からの返書の内容は不明。西田先生は、戦時下に『上記』を読んでいたのであろうか。
ちなみに、堀維孝(1868-1954)は、全集第18巻の人名解説によると、国文学・国漢教育専門、明治19年山形県尋常中学卒、36年広島高師教授、43年国漢部主幹、大正5年学習院教授。西田とは終生親交を保ち、とくに晩年、ともに鎌倉に住んで、往訪を絶やさなかったという。


これからは、「哲学の道」は、「上記の道」と呼ぼうか。

*1:西田幾多郎全集』第18巻、岩波書店、平成17年12月

*2:西田幾多郎全集』第19巻、岩波書店、1953年7月