神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

岩波書店『「帝国」日本の学知』シリーズ(その2)


大橋図書館の元司書にして、柳田國男の高弟たる大藤時彦の経歴については、『現代人名事典』(平凡社)に、「大橋図書館、国際文化振興会、CIE」とあり、国際文化振興会では石田幹之助の創設に係る図書室と関係があるのか、CIE(GHQ民間情報教育局)図書館と関係があるのか、色々疑問があったところである。


『「帝国」日本の学知』の第6巻『地域研究としてのアジア』中「第4章 日本占領期の社会調査と人類学の再編」(中生勝美)によると、竹内利美『家族慣行と家制度』(恒星社厚生閣、1969年)に大藤時彦民俗学者がCIEで農漁村の世論調査を行っていたことが記されているという(中生氏は7月26日に紹介した論文の著者だね)。


早速、竹内氏の著書を見ると、


敗戦後、私は連合軍総司令部民間情報教育局世論及び社会調査部という部局で、顧問という妙な職に就いた。鈴木栄太郎、小山隆、喜多野清一、桜田勝徳関敬吾大藤時彦石田英一郎、馬淵東一などという方と一緒であった。アメリカの研究者がチーフではあったが、占領政策とは直接関係なく、日本社会の研究を進めつつ、有益な資料を提供するというのが、その本来のねらいのようであった。


とある。
残念ながら、CIE図書館との関係を示す記述はない。大藤については、柳田の『炭焼日記』中に進駐軍の図書係への協力を示す記述*1があることから、CIE図書館との関係が想像されるのだが、大藤の詳しい経歴が入手できず、不明のままである。成城大学に行けばあるのかしら。

*1:柳田國男『炭焼日記』昭和20年12月28日の条に「大藤時彦来、家族を因幡からつれてかへつたといふ。国際文化振興会は当分休止、今進駐軍の図書係を助けてゐるといふ。」とある。