神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

岩波書店『「帝国」日本の学知』シリーズ(その1)


これぞ岩波の真骨頂と言うべき『「帝国」日本の学知』。毎巻瞠目すべき論文が目白押しである。
第3巻『東洋学の磁場』中、「第1章 日本的「東洋学」の形成と構図」(中見立夫)に興味深い記述があった。


ついで一九〇〇年、義和団事件がおこり、翌年、北京が日本軍をふくむ八ヵ国連合軍により占領されると、南条文雄は東本願寺慰問使として北京へ赴くが、南条の要請と、チベット仏教の研究と仏典収集のため、チベットをめざしていた寺本婉雅の奔走で、黄寺にあったチベット語大蔵経カンギュル、「総計八類、百五十一部、三百五十冊」が、北京駐屯師団より宮内省へ献呈され、田中光宮内大臣の尽力により、すぐさま東大で保管されることとなる。


詳細は、神田信夫編『日本所在清代档案史料の諸相』(東洋文庫清代史研究室、1993年)中の中見論文に書かれているらしい。


東大図書館が所蔵する「日清戦役」における分捕り品については、7月7日に言及したけれど、この論文中の大蔵経は、分捕り品なのか、正当な「買上げ品」なのか、不明。