金尾文淵堂については、石塚純一『金尾文淵堂をめぐる人びと』を見ていただくとして、幾つかの日記の中で金尾文淵堂の名前を見かけたので、記録しておこう。
1 鷗外と金尾文淵堂
大正元年10月26日 金尾種次郎来て与謝野晶子が二十九日に神戸に着くことを話す。
10月28日 金尾種次郎の使者来て与謝野親戚の言伝をなす。晶子を迎へに軍医を遣らんかと言はせしに、親戚は辞したるなり。
10月29日 金尾種次郎来て晶子の言伝を通ず。
与謝野晶子は、この時期、金尾文淵堂から『新訳源氏物語』を刊行(上巻:明治45年2月、中巻:6月、下巻一:大正2年8月、下巻二:11月)していた。