図書館ネタばかり続けると、天の声が「こりゃ!」と言っている気がするので、「文學界」で「歴史のかげに“食”あり」 (第1回は「ペリーの口には合わなかった日本料理」)という連載のスタートをした黒岩比佐子さんへのオマージュ(盗作という意味じゃないよ・・・)として、黒岩さんの主著『『食道楽』の人 村井弦斎』(岩波書店)をネタにしてみよう。
といっても、新発見の事実とかがあるわけではないから、あまり期待しないでね。
1 掛川の二人の霊術家
『<こっくりさん>と<千里眼>』(一柳廣孝著)によれば、明治36年前後、催眠術ブームがあったという。
例えば、坪内逍遥の日記を見ても、そのことは確認できる。
明治36年3月30日 竹内楠三著「催眠術自在」といふ書を読む
6月13日 竹内の「天眼通」を読了
6月15日 「催眠術と[ママ]感応」といふ書を読む
NDL-OPACによれば、
『天眼通』は、竹内楠三訳編『近世天眼通実験研究』(明治36年5月)、
『催眠術と感応』は、山崎増造『催眠術及感応療法』(明治36年9月)。
問題は、後者の本だ。山崎は、他にも『神秘術 前編・後編』(明治37年)、『心理的之異常 精神変態論』(明治38年11月)、『不老青春術』(明治43年12月)なども書いているようだが、幾つかの著書の出版地が掛川となっている。
掛川のトンデモない人と言えば、村井弦斎が晩年どっぷりとハマった中尾弘明を思い浮かべる。
山崎とは、はたして何者だろうか?
時代が離れすぎているせいか、『霊術と霊術家』(霊界郭清同志会編、昭和3年)にも出てこないのだ。