神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

桜澤如一と関根康喜(関根喜太郎)(その2)


関根と書物展望社とは、関係があるどころではなく、「書物展望」に頻繁に執筆している人物であった。昭和13年1月号の初登場(「読書界の現状とその将来」)における紹介では、「日本読書新聞社総務部長」とされている。同社は、昭和12年1月に創立された会社らし。
関根は、出版界に詳しい人物らしく、その後も各年度の出版界展望などを書いている。さすが、二十数年の出版経験があるという関根である。
そうそう、昭和14年10月号には「斉藤昌三とはどんなひとか」まで書いているのだ。


以前、言及した『全国国家主義団体一覧』による財団法人食養会(同会は、本来社団法人のはずなので、誤記だと思われる)の役員の正体が少し明らかになった。



 顧問 櫻澤如一

 会長 関根康喜

 理事 原典作、江藤源九郎、小松崎重、長瀬巌、山本喜志次、滝沢利量、藤田正直、今川忠次


小松崎・滝沢は、大日本生産党の中央常任委員、山本は同党関西本部常任委員。


江藤源九郎は、『近代日本社会運動史人物大事典』によれば、明治12年生まれ。昭和2年少将に進級し、後予備役に編入。7年奈良県から衆院議員当選。10年に衆院で最初に天皇機関説を攻撃、美濃部達吉不敬罪で告発するなど、国体明徴運動の先頭に立ったという、人物。すごい人がでてきた・・・元アナキストの関根だが、今やその交際範囲は国家主義者ばかりになっている。


藤田は、明治32年生まれ。昭和10年東京医科大学に入学。14年に食養会医務部に勤務。16年、杉並で開業、食養医学会主宰。


さて、関根が昭和14年10月に発行した『出版の研究』であるが、8千円の価値があるかどうかはともかく、同書で今後書きたいとしている項目がおもしろい。
例えば「出版のぼろい儲けと古本のぼろい儲け」なんてのがある。誰ぞの記事予告もすごいが、関根の予告(実際に書いたかは不明)も楽しめる。
関根康喜著」、若しくは「成史書院発行」という本で、安かったら、拾うべし!
(小田氏が、紹介してから値上がりしてるのかも?)


小田氏の記事の内容については、「書物蔵」の5月25日参照。


*前回、「日本古書通信」のホームページからコピペしたら、「荒川畔村」が「荒畑畔村」となっている誤記もそのままコピーすることになってしまった。手抜きはいかんなあ。荒畑寒村じゃないのにね・・・


追記:大日本生産党の役員に関根喜四郎という人物がいるのだが、関根喜太郎との関係は不明。