昭和13年7月2日
紙上伝うる所によれば、清野は神護寺その他より多数の国宝級
の経巻を盗出したる由なり。近来貴重なる経巻の蒐集に熱中し
居たるは、先般京都に赴きし際承知、その一、二は自分も見たる
ことあり。(中略)
同氏亦、多年写経に熱中し、近頃の趣味は、古代殷の経書写経等
に移りつつありしは確かなり。この事果して真ならば同氏の為には
勿論、学界の為にも遺憾この上なきことなり。
考古学の授業を濱田氏に代りて担当し居たる関係もあり、病中の
濱田総長の心痛も察するに余りあり。(中略)
大学に於て清野問題喧し。長谷部氏は心当りの行動を目撃したる
ことありという。
(参考)清野謙次は、反町茂雄や岡茂雄にとっても、親しき人であったが、
報道を知って、どう思ったであろうか?
長與は当時東京帝国大学の総長。同じ、総長の立場としても濱田
京都帝大総長の心痛を思いやったに違いない。
島田翰(シマダ・カン)の書盗?については、「書物蔵」の3月
17日参照。
「編集会議」2月号に中野書店登場。
「出版ニュース」1月上・中旬合併号の「今年の執筆予定・アンケ
ート特集(178氏)」で、紀田順一郎氏、黒岩比佐子氏、井上章一氏、
小谷野敦氏、出久根達郎氏、呉智英氏、加藤典洋氏、海野弘氏、
長山靖生氏などの来年の動きが多少分かる。