西早稲田バス停の前に、大観堂という新刊書店がある。この一画は
戦災を免れたそうで、建物も戦前からのものと思われる位、店内
も暗いので、古書店と間違って入ってくる客も間々あったとか。
通りすがりに覗くと、何時も、店に座っているのは品の良い老女
(姉妹が交替で店に出ていると知ったのは最近のこと)。
(中略)
現代の大観堂の位置と違って、昔は通りを隔てた斜め向い辺にあり、
二階に掲げられた看板には、「大観堂曰く。無用の本を蓄へんより、
有用の一本と換へられよ」と書いてあったという。
(初出:「彷書月刊」第8巻第5号、1992年4月25日)
問題は、今は無用でもいつ有用になるかわからないから、つい溜め込んで
しまう性格があることで、有用の一本に換えるのは至難の業なり。
大観堂って、今でもあるのか、ぜひ確認にいかねば!
追記:本書の「探求書欄が縁で」には、ヨコジュンがY氏として登場する。
「年内には岩波新書の書き下しとして、得意の明治ものも刊行の
予定と聞く」(初出は「日本古書通信」第61巻第3号、1996年
3月15日)とある。この没になったであろう、岩波新書のヨコ
ジュンとは何だろう?(ヨコジュンの本で顛末を読んだ気もするが)