神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

『SFの時代−日本SFの胎動と展望』(石川喬司著)中「Ⅰ作家論のためのノート 福島正実 −ミスターSFの道」


   星新一矢野徹がルートを拓き、小松左京が万能ブルドーザー
   で地ならしをし、光瀬龍がヘリコプターで測量し、眉村卓
   貨物列車で資材を運び、筒井康隆が口笛を吹きながらスポーツ
   カーを飛ばし・・・という例のぼくのSFランド案内記ふうに   
   いえば、福島は、それら全部をひっくるめた青写真をひいた
   工事責任者とでもいえようか。この工事責任者はまたSFラン
   ド大学の学長でもあり、その門からは日本のSF界を支える
   有望な卒業生が輩出しつつある。その意味で”ミスターSF”
   という呼称は福島にふさわしい。
   福島は1929年2月、屯田兵の孫として樺太の豊原に生ま
   れた。(中略)父親は、ツンドラ地帯の開拓を夢見る樺太庁
   の農林技手だった。(中略)
   やがて父親の転勤で満州に移住、大連や承徳の日本人学校
   通った。(中略)
   小学四年のとき、父親を残して一家は内地へ引揚げた。