76年のSF界回顧は、まず福島正実の急死(4月9日)
から始めなければなるまい。(中略)
「SFアルカギリ貴殿ノ名ハ消エズ」という
無名の一ファンから寄せられた弔電は、このパイオニアに
ふさわしい墓碑銘といえるだろう。
遺稿となった『未踏の時代』(SFマガジン連載)は、日本
SF史の貴重な証言である。
<スペキュレイティヴ・フィクション>としてのSFの初心
を純粋に貫きとおそうとした福島にとって、昨今のSF界の
状況は、かならずしも満足すべきものではなかったようだ。