文春文庫『ぼくはこんな本を読んできた』(立花隆著)から
(小学校)3年になった頃、近所の人から江戸川乱歩の探偵小説を見せて貰ったのが病み付きになり、それ以来探偵小説、冒険小説、推理小説、怪奇小説、剣豪小説、捕物帖のたぐいに熱中し次から次へと読みあさった。
中学1年の頃、近くの貸本屋で平凡社版乱歩全集(昭和6年)を見つけ、全13巻を読破した。この全集はほとんどが「パノラマ島奇談」「陰獣」「蜘蛛男」などの、いわゆる猟奇物で、子供が読んではいけないものを読んでいるなと思いつつ、親に見られないように隠れて読み通したことを覚えている。