神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

一箱古本市で古本萌え〜


不忍ブックストリートにおける第4回一箱古本市で「工場萌え」、じゃなかった、「古本萌え〜」してきた。


まずは、退屈男氏に敬意を表すべく、オヨヨ書林へ。
オヨヨ、「いらっしゃいませー」という声が板についたこの人が神保町勤務の退屈男さんか。予想していたのと異なる種類のメガネだったので意外であった。懐かしき広瀬正の『ツィス』の文庫版に出会う。売れたかしら。


とっくに処分してしまったけれど、私は単行本の方で読んだ。あの広瀬のノスタルジックな作風にははまったものだ。ホント、広瀬があんなに早く死ななければ確実に直木賞受賞のSF作家第1号になったはずだね。ここでは他の箱でメリットの『イシュタルの船』を見かけた。400円とは安い。


しのばずくん神社では、生の岡崎武志氏を発見。実物にお目にかかるのは3回目か。実は未だに買っていない『読書の腕前』(サイン本だったみたい)を買おうかと思ったが、前の兄ちゃんがもたもたしてるからイラチのわしは、撤収(怒


「乱歩゜」では、「森茉莉街道をゆく」さんの箱あり。このブロックでは、晶文社が100円で売っていた旧版の「植草甚一スクラップ・ブック」の月報(一部)入り袋を買いそびれた。


「コシヅカハム」の「「北方人」日記」さんは、売り上げ冊数では3位だったようですが、個人的に「シブかったで賞」を差し上げます。


どなただったかスーツ姿の店主がおられたが、出張の機会を利用して参加されたのだろうか。謎であった。


MAPで気づいた事を記録しておくと、地下鉄の出口の表示はもっと大きく、かつ、何番出口かも書いてほしい。また、「しのばずくん神社」が書かれていなかった(スタンプ用の地図には書かれている)。


一箱古本市も4回目ですっかり地元に定着したイベントになったようだ。連休でつつじ祭りに来て、初めてその開催を知って寄った人も多いだろう。連休がつぶれる主催者の方には御苦労だけど、地方から出店したり、客として来る人にはこの時期の開催はありがたい事であろう。


南陀楼氏を始め、開催に携わった方には本当に感謝。
私もいつかは店主となってトンデモ本を売るか(笑


それにしても、書物奉行氏はどげしてるだすかね・・・


追記:谷根千工房では、伝説の雑誌『Bookman』を見かけた。
休憩なしに2時間以上かかって廻ったが、1箇所はあきらめ。黒岩比佐子さんは全部制覇したようで、やはり元体育会系の強みか。
夕焼けだんだんでは、名物(?)猫を見ることができた。

安くはなかった明治堂


明治堂=雑書=安いというイメージがあるが、必ずしもそうではなかったようだ。
吉野作造選集』第15巻(岩波書店、1996年10月)によると、

昭和7年2月24日 午後は大学、経済学部が明治堂から購入した明治思想史文献目録を借りて見る 猛雄君の蒐集品だ 主として経済関係のものであり中に二三の珍本もあるがコレクシヨンとしては案外不完備のものである もツと完備してる筈と思ふがマサカ別に取つてあるのでもあるまいが之れだけでは仕様がない 経済以外の文献では手当り次第集めたものでその数は殆んどいふに足らぬ それに値段の高いのに驚いた 巌松堂程ではないが慥かに一誠堂辺を凌ぐものである あんなものにあんな高価を附けるとは明治堂らしくない 思ふに猛雄君に頭がなく系統的に集めることを知らないから数の相当多きに慢心し之れだけ集めたといふところに価値ありと考へたのであらう さるにても経済学部がこの高価でやくざものを買込み之で明治研究の資料が揃つたと吹聴するに至ては滑稽の至りである 丸で盲が物を買つてゐるやうなものだ


吉野は、この年の6月に明治堂の主人三橋猛雄の結婚披露宴に招かねる*1程親しい仲だが、値付けには厳しい意見だね。