神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2023-01-01から1年間の記事一覧

医学生で京都帝国大学基督教青年会の谷口善之が残した大正13年・14年日記

書砦・梁山泊の島元さんからいただいた日記には、京大関係者の物が数冊あった。そのうち京都帝国大学文学部心理学教室の岩井勝二郎助教授の日記(昭和12年)については、「京都帝国大学文学部心理学教室第三代教授岩井勝二郎の日記ーー書砦・梁山泊から貰った…

大正14年川喜田半泥子が句誌『はま荻』創刊号に寄せた「千歳山荘より」ー川喜田半泥子没後60年記念にー

ランキング参加中はてな文芸部 ランキング参加中歴史ランキング参加中読書 今年が川喜田半泥子の没後60年ということで、三重県津市の石水博物館で 記念特別展「川喜田半泥子の俳句と轆轤ー秋風のふくよろくろのまわるままー」が開催される。会期は、9月9日から…

京都古書会館で『休暇日誌:尋常小学校第五学年』(金港堂書籍、明治44年)をー柿本真代「夏休みの日記の成立と展開」を使うー

10月13日~15日に京都古書会館で「京都まちなか古本市」があるようだ。ということで、時期は不明だが京都古書会館で入手した『休暇日誌:尋常小学校第五学年』(金港堂書籍、明治44年6月)を紹介しよう。日記が好きなのと、金港堂発行なので購入したと思う。キ…

『美潢界』第15回表展号(大正13年)を買ったら、よりによって国会図書館がその号だけ持ってた…

これは、昨年だったか一昨年だったか京都国立近代美術館近くの食堂の外に出ていた和本500円均一台から入手。京都表具業組合(現京都表装協会)の機関誌『美潢界』の第15回表展号(美潢界社、大正13年12月)。和小物のワゴンの300円均一の札と見間違えたのと…

昭和17年稲垣武雄ら郷土玩具誌『竹とんぼ』同人から中山香橘宛葉書

今年の「七夕古書大入札会」(明治古典会)の目録は、特にジブリ関係のセル画・原画が話題になったようだ。私自身は、稲垣武雄の旧蔵書や蔵書印(印顆)が気になった。もっとも、そろそろ終活のお年頃(^_^;)なので入札依頼は見送り。 稲垣の蔵書印は、国文学研…

大正15年2月日本に上陸していたチャーチワードのムー大陸伝説

江戸川乱步「二人の探偵小説家(四)」が掲載された『旬刊写真報知』(報知新聞社出版部、大正15年2月15日)の目次をあげておこう。 乱步のこの小説は、17頁、18頁に掲載された。18頁は見開きの右側で、末尾に「(続く)」とある。しかし、誌面刷新により連載が…

江戸川乱步「二人の探偵小説家」(「空気男」の原題)掲載の『旬刊写真報知』ー『江戸川乱步大事典』(勉誠出版)への補足ー

やや高価であったが、中相作編『江戸川乱步年譜集成』(藍峯舎)を入手した。大正15年の条の1月及び2月に小説として「二人の探偵小説家①~④」が挙がり、1月5日に「旬刊誌で初めての長編連載が始まる」とある。この「二人の探偵小説家」を連載した「旬刊誌」が、何度…

『旬刊写真報知』(報知新聞社出版部)掲載の挿絵に注目!

何度か話題にした『旬刊写真報知』(報知新聞社出版部)は、挿絵画家にも注目すべきである。3巻11号,大正14年4月15日は、斎藤五百枝、橘小夢*1、清水三重三、牛島一水。同巻24号,同年8月25日は、清水、斎藤、橘である。この他、家蔵の号には、牛島一水、太田…

怪談好きの小山内薫が語るフロイトの弟子にしてゴーストバスターのT女史

昨日は幽霊の日だったそうで、1日遅れで小山内薫が語る怪談話をネタにしよう。 東雅夫編『お岩:小山内薫怪談集』(メディアファクトリー、平成21年5月)は、小山内が大正8年8月から9年1月まで『万朝報』に連載した「お岩」から亡くなる昭和3年までに執筆した…

『近代出版研究』2号(皓星社発売)の「横山茂雄ロングインタビュー」への補足

『近代出版研究』2号(皓星社発売)は、今年3月に発行された。もう4か月近く経つことになる。次号の編集も着々と進められているようだ。巻頭の横山茂雄ロングインタビュー「川島昭夫・吉永進一らとの交友、そして古本収集話」を皆様お読みいただけたでしょうか…

江口榛一から臼井喜之介宛献呈『故山雪:歌集』ーTHE KYOTOで「京都・左京区研究」始まるー

いつもお世話になっている三密堂書店の100円均一台。ここで拾うべきは、くろっぽい雑誌か小冊子だと思う。しかし、たまには単行本を買うこともあって、江口榛一『故山雪:歌集』(世界文庫、昭和35年12月)も昨年だったかに見つけたそんな1冊である。 最初は…

大正14年『旬刊写真報知』に掲載された光吉夏弥の舞踊記事ーー澤田精一『光吉夏弥』(岩波書店)への補足ーー

古書鎌田で買った『旬刊写真報知』3巻11号(報知新聞出版部、大正14年4月)と同巻24号(同部、同年8月)には、光吉夏弥「近代舞踊図考」が掲載されていた。どちらもコラムで、前者は「スケーテイング・リンク」、後者は2個所の「WELCOME DENISHAWN」である。「DENIS…

岩井宏實国立歴史民俗博物館教授と九十九豊勝東洋民俗博物館長

昨年12月から今年の2月にかけて、静岡県富士山世界遺産センターで「博士の愛した富士山ーフレデリック・スタールと九十九コレクションー」が開催された。九十九豊勝(号黄人)の四男で東洋民俗博物館理事長の九十九弓彦氏による公開講座「父、九十九黄人を語る」…

明治44年大阪大谷派本願寺別院内の伏見仏教青年会で開かれた近角常観の講話

5月のみやこめっせの古本まつりで玉城文庫から買った紙ものは、もう1枚ある*1。大阪大谷派本願寺別院内の伏見仏教青年会で開かれる近角常観の講話の案内である。玉城文庫から500円で入手。伏見というと京都かと思ってしまうが、同別院は大阪市伏見町にあった…

早稲田大学文学部長五十嵐力が残した学生による日本伝説集

古書鎌田から入手した『旬刊写真報知』3巻24号(報知新聞社出版部、大正14年8月)には、「幽霊を見た話」として様々な怪談が載っている。その中に、四国のある寒村で若者達のいたずらにより沼に沈められ死んだ「おきく」のすすり泣く声が毎夜聞こえるという伝説…

江見水蔭の時代小説が載った『旬刊写真報知』(大正14年)

古書鎌田から『旬刊写真報知』3巻24号(報知新聞社出版部、大正14年8月25日)を購入。「江見水蔭のサンカ小説 - 神保町系オタオタ日記」でサンカ小説かもとした江見水蔭「丹那山の怪」が載っていたからである。しかし、残念ながらサンカ小説ではなく、時代小説で…

アジア復興レオナルド・ダ・ヴィンチ展を4回も観ていた戦時下の前衛画家吉井忠と民俗学

あれからもう2年も経つのか。2年前京都文化博物館の「さまよえる絵筆:東京・京都 戦時下の前衛画家たち」展を観ていたオタどんは、たまげた。前衛画家吉井忠に関する展示の中に、『アジア復興レオナルド・ダ・ヴィンチ展覧会解説』(日本世界文化復興会、昭和…

下田歌子校長追悼記念号の『姫小松』11号(順心高等女学校、昭和12年)

写真を挙げた『姫小松』11号(順心高等女学校、昭和12年6月)は、「下田先生追悼記念号」。「下田先生」は、下田歌子校長である。下田は、大正7年4月順心高等女学校の前身である順心女学校の校長に就任して以降その職にあったが、昭和11年10月8日に亡くなった。…

京都新聞の美術記者になっていた朝鮮創作版画会同人多田毅三ーーデジコレで辻千春『空白の美術史』(中日新聞社)へ補足ー

辻千春『空白の美術史:植民地下「朝鮮」で見る創作版画』(中日新聞社、令和2年2月)を借りてきた。借りてきたが、これは買っておいた方が良さそうである。目次を挙げておく。 「第一章 日本人美術家による京城における創作版画の展開」に多田毅三という新聞記…

京都学・歴彩館にない本ーー俚謡誌『絵日傘:俚謡正調』第2号(円窓会、昭和2年)ーー

『国立国会図書館月報』に「国会図書館にない本」という好企画があった。令和元年5月号の鈴木宏宗「戦前の全集月報附録類」などがその例だが、最近はやってくれないようだ。今回のタイトルは、それに倣って「京都学・歴彩館にない本」とした。 『絵日傘:俚…

フェルメール《青いターバンの少女》を表紙に載せた照雨荘旧蔵『傅記』昭和23年2月号

『傅記』2巻2号(菁柿堂、昭和23年2月)は、表紙にフェルメール《青いターバンの少女》(今は《真珠の耳飾りの少女》と呼ぶのかな)が載っていたので、購入したと思う。蔵書印が押されていて、「照雨荘」とある。 実は、この蔵書印は読めなかったが、平成28…

館界では名を残さなかったが、折口信夫学に名を残した拓殖大学図書館員牛島軍平

『青野季吉日記』(河出書房新社、昭和39年7月)昭和20年1月29日の条に、拓殖大学図書館員だった牛島軍平らしき人が出てくる。これは、「拓殖大学図書館員牛島軍平 - 神保町系オタオタ日記」で紹介したところである。牛島は、館界には足跡を残しておらず、『…

第3回歯に関する趣味の展覧会に結集した加賀紫水ら愛知県の趣味人ーー『よはひ草』第3輯(小林商店広告部、昭和4年)からーー

四天王寺春の古本まつりで、シルヴァン書房が30%オフをやってくれた台に『よはひ草』第3輯(小林商店広告部、昭和4年3月)があった。昭和3年4月10日から18日まで小林商店(ライオン歯磨本舗)が名古屋松坂屋で開催した「第3回歯に関する趣味の展覧会」の記録…

大正2年信仰物理学者日下部四郎太が創立した東北帝国大学理科大学の散歩会と田辺元ーー『自修会々報』創刊号からーー

先日東京古書会館の和洋会2日目では、1冊だけ購入。『自修会々報』創刊号(東北帝国大学理科大学自修会、大正4年4月*1)である。東北帝国大学理科大学の校友会自修会の会誌で、98頁。きたむら書店の出品で、1,000円だった。 古本市2日目の昼でも残っていたの…

『あのな』の肥田弥一郎「掬水庵日誌抄録」を駆使する塚田嘉信『日本映画史の研究』(現代書館)

股旅堂の古書目録27号に『あのな』第1~12号(楓文庫、大正13年)が出ていた。私は、掬水庵渓楓(肥田弥一郎*1)の個人誌である本誌昭和5年3月号を入手して、平成29年12月Twitterで言及したことがある。股旅堂の目録を見て、この雑誌に載った肥田の日記「掬…

アントニン・レーモンド設計星商業学校新講堂の落成記念品附大売出しチラシ

私の古本人生を簡単に図式化すると、次のとおりだろうか。 文庫・新書→白っぽい単行本→黒っぽい単行本→雑誌・小冊子→紙もの(絵葉書、チラシなど) 年を重ねると、蒐集対象がありきたりの本から人が持ってなさそうな冊子やチラシ類に移る。これは、古本人生…

【拡散希望】6月3日に「ブックオフあるある」の大石トロンボ『新古書ファイター真吾』(皓星社)のトークイベント

皓星社に寄ったら、大石トロンボ『新古書ファイター真吾』(皓星社、令和5年5月)をいただきました。ありがとうございます。6月付けの2刷で順調に売れているようだ。東京堂書店のベストセラー展示でも1位に並んでいた。正直絵そのものはそれほど上手いとは思…

竹内理三の恩人山中武雄広島文理科大学助教授と本多龍成京城帝国大学助教授

絵葉書は、もっぱら宛名面記載の発信者名や受信者名を見て、知ってる人を中心に未知の人でも旧制高校・旧帝大などの教員らしい人だと買うことにしている。今回写真を挙げたのは、京城帝国大学法文学部支那哲学研究室*1の本多龍成宛である。発信者は、山中武…

山田一夫が多過ぎる件ーー明治39年山田一夫宛三宅克己画の絵葉書ーー

Twitterで古書柘榴ノ國氏が山田一夫宛献呈署名本(田辺聖子『ひねくれ一茶』平成4年)について、この山田は誰だろうとつぶやいていた。これに、ヲガクズ氏が「NDL Authorities」にあがるだけでも10人いる旨のリプライをしていた。これを見て、わしは遙か昔の明…

山口八九子が描いた年賀状ーー浅草の医師本多冬城から名古屋の尾崎仁三郎宛年賀状ーー

日本絵葉書会創立20周年記念出版事業として、1月に『絵はがきのサイン』が刊行された。旧い絵葉書に使われた192名の画家のサイン(印章)を分類したものである。氏名の五十音順による一覧だけではなく、サインの形状・文字の種類(四角、三角、丸、カタカナ、漢…