2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧
『日本古書通信』5月号の岡崎武志「昨日も今日も古本散歩」127回に、奈良の古書柘榴ノ國が登場。岡崎氏が紹介している内容のほか、均一台に戦前の文芸雑誌が出たり、良さげな絵葉書を格安で売ってる店でもある。そう言えば、同店で買った山本宣治の絵葉書を思…
ネットでも読める『国立国会図書館月報』(国立国会図書館月報|国立国会図書館―National Diet Library)3月号及び5・6月号の「国立国会図書館にない本」シリーズの小林昌樹「特価本目録は庶民読書の証言者」を読了。図書館の月報なので並の図書館なら蔵書の自慢を…
『民芸品展覧会目録(第四回)』(京都民芸同好会、昭和11年8月)が出てきた。あきつ書店300円の値札が貼ってあるので、東京古書会館まど展で買ったのだろう。大丸百貨店で開催された第4回民芸品展覧会の目録である。「本会の主旨」に挙がっている会員名は、次の9…
『近現代日本の民間精神療法:不可視なエネルギーの諸相』(国書刊行会、令和元年9月)の吉永進一「序論」は、明治から昭和戦前期までの民間精神療法を5つに区分している。そのうち、第4期精神療法後期(大正10年~昭和5年)に続くものとして、第5期療術期(昭和5年…
慶應義塾ミュージアム・コモンズ(Keio Museum Commons | 慶應義塾ミュージアム・コモンズ)のグランド・オープン記念企画「交景:クロス・スケープ」の一環として、6月18日(金)まで「文字景ーーセンチュリー赤尾コレクションの名品にみる文と象」と「集景ーー集う…
大澤絢子先生の『親鸞「六つの顔」はなぜ生まれたのか』(筑摩書房、令和元年8月)の本論に補足はできないが、人物情報であれば補足できそうである。大正期の親鸞ブームの中で、創作『燃え出づる魂:親鸞の新生』(弘文閣、大正11年4月)を書いた百貨店日日新聞社…
Twitterで磯部敦先生から、『西哲夢物語』(明治20年)の国会図書館及び都立中央図書館所蔵本の表紙は水色で、茨城で作製されたらしいとの御教示をいただきました。ありがとうございます。日本出版学会関西部会編『出版史研究へのアプローチ:雑誌・書物・新聞…
数年前知恩寺の古本まつりで、キクオ書店の3冊500円台から赤い本を見つけた。『西哲夢物語』(明治20年)の復刻版である。原本でなく復刻版なので迷ったが、買っておいてよかった。限定70部発行で、所蔵する図書館も少ない。復刻版を出した宮田豊先生(大正13年…
今年1月から3月にかけて、向日市文化資料館で「寿岳文章 人と仕事 展」*1が開催された。コロナ禍による講演会延期、会期延長などもあって、関係者の皆様お疲れ様でした。その図録『寿岳文章 人と仕事 展』(寿岳文章 人と仕事 展実行委員会、令和3年3月)が刊行…
京大大学文書館が所蔵する西田直二郎日記の翻刻、入山洋子「西田直二郎日記(1)」『京都大学大学文書館研究紀要』18号(Kyoto University Research Information Repository: ブラウズ)が発表されて、1年が経つ。すっかり読むのを忘れていたが、ようやく読了。様…
藤澤親雄が大正14年日本において最初に地政学を紹介したと、「情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その16) - 神保町系オタオタ日記」で言及したところである。ところが、高木彰彦『日本における地政学の受容と展開』(九州大学出版会、令和2年3月)の「第…
大笹吉雄『日本新劇全史』第1巻(白水社、平成29年9月)によると、昭和13年は、新築地劇団にとって『綴方教室』の上演で明け暮れたと言っても過言ではないという。『綴方教室』は、豊田正子原作、古川良範脚本、岡倉士朗演出。3月6日~20日の築地小劇場、4月27…
クリントン・ゴダール著、碧海寿広訳『ダーウィン、仏教、神:近代日本の進化論と宗教』(人文書院、令和2年12月)を読んでみた。「目から鱗」というのは、本書のためにあるような言葉である。本書によって、著者のいう二つの神話が葬り去られたと思われる。一つ…
『跡見花蹊日記』2巻(跡見学園)に、「活人画」という見慣れぬ言葉が出てきた。 (明治二十年三月)十二日 三条公より御招ニ預り、相公及御簾中と共に、工科大学校にて洋人等の催しにて活人画を見る。山水之位置、人物之配合等はほとんど画の如し。奇観言へからす…
「スメラ民文庫」について、「情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎 - 神保町系オタオタ日記」で紹介したことがある。一方で、スメラ学塾の機関紙として「スメラ文庫」が存在したことになっている(「スメラ学塾の機関紙「スメラ文庫」 - 神保町系オタオタ日記」参照…
貧乏なので『ユリイカ』の偽書特集も買ってない。『現代思想』の陰謀論特集も止めておこうかと思っていたら、吉永さんがオタどんに言及したということで、買ってきました。確かに載ってますね。「陰謀論と円盤をめぐる二、三の事柄」で、 日本のペリー受容につ…
様々な分野の研究者がスメラ学塾の関係者に言及するようになったこの頃である。岡本拓司『近代日本の科学論:明治維新から敗戦まで』(名古屋大学出版会、令和3年2月)にも、「スメラ学塾」という言葉は出てこないが、スメラ学塾を率いた仲小路彰、小島威彦やメ…
同志社大学人文科学研究所から『住谷悦治日記 一九三三(昭和八)年』(令和2年5月)が刊行された。滝川事件が起きたこの年は、同志社大学教授だった住谷がある青年に金を貸したことにより共産党との関係を疑われ、検挙され辞職する重要な年である。大正3年から…
高良真木著・高良留美子編『戦争期少女日記 自由学園・自由画教育・中島飛行機』(教育史料出版会、令和2年2月)に、アジア復興レオナルド・ダ・ヴィンチ展が出てくる。 (昭和十七年) 九月二十四日(木) (略) 午後から、レオナルド・ダ・ヴィンチ展に一人で行っ…
昭和15年に始まったスメラ学塾講座は、少なくとも第5期まで開講された。第4期分までは、『スメラ学塾講座』第1期~第4期(世界創造社)として刊行されている。人気沸騰中(?)で、「日本の古本屋」出品分は、すべて売り切れである。開講期間、開催場所、参加人数…
藤澤親雄を学生時代から追いかけていて、修士論文も藤澤というビックラちょの人が、世の中にはいるらしい。そのうち、スメラ学塾についても修士論文や博士論文を書きましたという人が現れるかもしれない。もっとも、一次史料や新知見を見つけるのは、難しそ…