神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

満洲を駆け抜けた須知善一の年賀状ーー須知善一の岩井庄三郎や今尾和雄宛年賀状ーー

埋もれていた市道和豊氏の『満州を駆け抜けた男須知善一』と『満州の曠野に非ずーー戦後の須知善一ーー』(室町書房)が出てきた。前者には、須知の大正8年から昭和41年までの年賀状が掲載されている。私が持っている3枚は、どれも掲載されていた。 それぞれ紹…

黒岩比佐子さんに伝えたかったことーー集古会の自笑軒こと杉本僖平とヘレン・ケラーの講演テープ発見ーー

『跡見花蹊日記』(跡見学園)に田端の天然自笑軒が出てくる。 (大正七年) 七月十六日 (略)予、李子と同道にて田端天然自笑軒に行。中島徳蔵先生、先在。すへて茶室にて利休堂ニ座を定め(略)懐石料理十一種、美味にて十二分に頂戴いたし候。(略) 天然自笑軒は…

二重橋の設計者久米民之助の長男久米民十郎と跡見花蹊ーー霊媒派画家久米民十郎の誕生ーー

跡見花蹊の日記*1にチラホラと久米民十郎が出てきた。 (明治二十五年) 一月十日 (略)久米民之助、節子来。(略) (明治二十六年) 四月三日 (略) 久米節子、男子分娩報来。二日午後十時也。(略) 後に霊媒派画家となる久米民十郎の誕生である。父親で皇居の二重…

北白川にあった白陽社書店と大阪商科大学の某先生

これも寸葉会で「ひげ美術」から100円で。京都市左京区北白川の白陽社書店宛で、発信者が大阪商科大学(現大阪市立大学)の先生らしき「□川□郎」(又は□川□三郎)なので、購入。文面は、書籍について今月23日に上洛するので、御在宅をよろしくという内容である。発信…

寸葉会では東亜同文書院教授林源三郎宛榊原紫峰の絵葉書ーー国画創作協会第3回展覧会出品《奈良の森》ーー

寸葉会では、「ひげ美術」が1枚100円で大量の使用済絵葉書・官製葉書を出すので、これも楽しみ。絵葉書のコレクターは裏面の絵ばかり見る(当たり前だ)が、私は表面の宛名や発信者に注目して購入している。この大正9年12月5日付け絵葉書は、戦前上海にあった東…

書砦・梁山泊京都店で見つけた岸田劉生旧蔵(だったらいいな)の梅原北明『明治性的珍聞史』上巻(文芸資料研究会、大正15年)

京都新聞4月20日に京都国立近代美術館が岸田劉生の作品42点を一括収蔵し、来年1月一般公開するとの記事が出ていた。初期の代表作《外套着たる自画像》や京都滞在時に描いた《舞妓図(舞妓里代之像)》など、各ジャンルを網羅し、創作全体を展望できるという…

みやこめっせの古本まつり中止にガックリ。しかし、三密堂書店で禿氏祐祥・若林正治旧蔵書を

昨日は三密堂書店をのぞきに。すると、入口の自動ドアに貼られたポスターに「中止」の文字が。京都府にも緊急事態宣言が出るので心配はしていたものの、やってくれるかもと期待していたので、ガックリときた。それでも気を取り直して、店内の本を漁っていると…

たにまち月いち古書即売会で『宗教と藝術』流行親鸞批判号(大正11年)をーー宮本常一と『創作親鸞』を書いた三浦関造ーー

今月のたにまち月いち古書即売会は無事開催された。古本横丁の和本1冊300円コーナーでは4冊ほど購入。このコーナーはおそらく江戸期の優品を抜いた残り物の処分なのだろうが、時になぜこれを300円均一に出すのかと思うような掘り出し物が出たりする。そのた…

一柳廣孝『〈こっくりさん〉と〈千里眼〉・増補版』(青弓社)への補足

一柳廣孝『〈こっくりさん〉と〈千里眼〉・増補版:日本近代と心霊学』(青弓社、令和3年1月)が出た。元版(講談社選書メチエ、平成6年8月)が出てから27年。増補版の解説を書いた東雅夫氏も「この本が出たときのことは、よく覚えている」としているが、私もはっ…

佐藤通次の日本神話派と岩田一の古事記研究会ーー栗田英彦先生の研究に期待してーー

『公職追放に関する覚書該当者名簿』の該当事項欄だけを斜め読みしてたら、岩田一の該当事項として「一県勤皇運動理事大東亜協会古事記研究会理事長」があって、「古事記研究会」に注目した。というのも、三浦一郎『九鬼文書の研究』(八幡書店、昭和61年4月)の森…

昭和24年『山鉾大鑑』のノートを残して消えた風俗研究会幹事の若原史明

「『風俗研究』138号(風俗研究所、昭和6年11月)で見る風俗研究会の二十年 - 神保町系オタオタ日記」で言及した風俗研究会(江馬務主宰)の若原史明の経歴が判明。『祗園会山鉾大鑑』(八坂神社、昭和57年6月)の若原英弌*1「若原史明の思い出」に記載されていた。明…

「ざっさくプラス」(皓星社)と『雑誌新聞発行部数事典』(金沢文圃閣)を使って木下宏一『二〇世紀ナショナリズムの一動態:中谷武世と大正・昭和期日本』(三元社)に補足

小林昌樹編・解題『雑誌新聞発行部数事典ーー昭和戦前期 附.発禁本部数総覧』(金沢文圃閣。以下『事典』という)については、一昨年の古本バトルで紹介したところ、好評だったようで、近代仏教の研究者に利用されるようになった。しかし、まだまだ他分野の研…

海外宣教会外報掛松山松太郎と英華義塾ーー明治20年米国神智学協会に書簡を送った松山松太郎の経歴ーー

西本願寺普通教校教授だった松山松太郎は、明治20年3月米国神智学協会に問い合わせの手紙を送付。これが海外宣教会の前身である欧米通信会の結成につながる。この松山の経歴は、中西直樹・吉永進一『仏教国際ネットワークの源流:海外宣教会(1888年~1893年)…

水泳も得意だった京都府立第一中学校時代の太田喜二郎画伯ーー雑誌『わたつみ』に没後70年の太田喜二郎ーー

京都出身の画家太田喜二郎(1883-1951)の没後70年ということで、京都国立近代美術館コレクション展の中で「日本の外光派 太田喜二郎と大久保作次郎を中心に」開催中。 2年前、行く先々で太田の絵に出会うことがあった。京都文化博物館の「太田喜二郎と藤井厚二展…

読める日記帳・資料として使える日記帳としての『文藝自由日記』(文藝春秋社出版部)

朔太郎通信さん(@Sakutaro1917)が、Twitterで室生犀星の「四月の日記」(『新潮』大正9年5月号)を引用していた。そう言えば、精査中の昭和2年版『文藝自由日記』(文藝春秋社出版部、大正15年11月)に犀星の大正15年4月における日記が載っていたのを思い出した。…

顕真学苑旧蔵の板原闡教『宗祖ニ関スル典籍分類表』(昭和17年)ーー和歌山県二里ヶ浜の開道舎文庫ーー

最近京都の古書店の目録や店頭でよく見かける「顕真学苑蔵書」印の押された本。三密堂書店の100円均一台で見つけた板原闡教『宗祖ニ関スル典籍分類表』もそれだった。仏教系図書館の図書分類表かと思って、買ってみた。 分類は、一伝記、二年表、三旧蹟、四筆…

『向日庵』4号、『北方人』36号と『三上於菟吉再発見』を御恵投いただく。

3月21日向日市文化資料館で開催された「寿岳文章 人と仕事展」・「寿岳しづ展」と中島俊郎先生の講演の余韻が続く中、『向日庵』4号(特定非営利活動法人向日庵)が届きました。ありがとうございます。目次を挙げておく。 井上琢智先生(関西学院大学学院史編纂室研…

西宮雅楽多宗のキー・パーソン浅田利一(本名耕一郎)と我楽他宗奈良別院の九十九黄人(本名豊勝)

絵葉書を集め始めて数年が経つ。枚数を数えると、使用済み官製葉書を含めて300枚位。ん千枚も持っている誰ぞには、及ばないのう。絵葉書を整理していたら、数年前寸葉さんから200円で買った奈良県生駒郡あやめ池北園の九十九豊勝宛昭和45年の年賀状が目に留…

京都帝国大学文科大学(のち文学部)内京都文学会編集の『藝文』ーー『藝文』の卒業論文題目に平田内蔵吉や三浦恒助ーー

明治43年4月京都帝国大学文科大学内の京都文学会の編集による『藝文』が、開成館出版部から創刊された。同会規則第2条には、「本会は哲学史学文学の進歩及び普及を図るを以て目的とす」とある。また、第3条には「本会は京都帝国大学文科大学に関係あるもの及び…

『南木芳太郎日記』に記録された岡山の古書店雅楽堂(シゲオ書店)の古書目録『ほんの趣味』ーー岡山市高砂町の古書店主矢部繁雄ーー

森鴎外の日記に出てくる古書目録について、 「全財産を投げ打って『欽定四庫全書総目』を買った森鴎外 - 神保町系オタオタ日記」で分析したことがある。今回は、『南木芳太郎日記』1(大阪市史調査会、平成21年12月)に出てくる古書店雅楽堂(シゲオ書店)の『ほん…

『調査研究報告』41号(国文学研究資料館)の「眞山青果文庫調査余録」に神保町系オタオタ日記

『調査研究報告』41号(国文学研究資料館学術資料事業部、令和3年3月)の「眞山青果文庫調査余録」中、青田寿美「二 青果旧蔵書の変遷」の注4で拙ブログ「吉野作造の旧友としての真山青果ーー野村喬『評傳眞山靑果』への補足ーー - 神保町系オタオタ日記」に言及して…