神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

日本主義者の読書倶楽部

大倉常吉編『日本人の大使命 非常時打開の鍵』(豊橋日本主義研究読書倶楽部、昭和12年)という本がある。編者の大倉は、後の昭和14年に豊橋市出身の影山正治が創立する大東塾の塾外同人で、42年8月28日77歳で亡くなっていることは、判明している。多分図書…

もし書物蔵の畏友オタどんが戦後の堀内庸村を調べてみたら

高校野球の女子マネージャーがドラッカー『マネジメント』を読んだりするらしいが、ちと難しそうなので、わしは畏友書物蔵氏の堀内庸村に関する論考*1を読んでみた。この論考によると、堀内は、1930年代に青年日本社を創設、昭和16年青年文化振興会と改称。…

022佐瀬得三『続々 当世活人画』(春陽堂、明治33年4月)への補足

引き続き古書の森を逍遙中。 タイトルの022は、『古書の森 逍遙』で紹介されている220冊の本に振られた書籍コード。220冊すべてへの補足はできないが、いくつかの古本について、補足を書いていこう。佐瀬得三については、同書で明治43年4月『報知新聞』に美…

幻の広瀬正原作のマンガ

星新一展には、柴野拓美とか『宇宙塵』とかも、もちろん出てきて楽しめた。さて、その『宇宙塵』だが、昭和38年9月号によると、宮崎惇や広瀬正が近く『週刊少年マガジン』のマンガ原作で登場の予定とある。確かに、宮崎は同誌10月6日号の、新連載忍者マンガ…

進々堂開店80年

京大北門前進々堂が開店80年*1ということで、京都新聞朝刊の今月2日・3日に「コーヒーの香る学舎 喫茶店進々堂80年」という記事が出ていた。店に通った人物として、会田雄次、上田正昭、河上肇、湯川秀樹のほか、森見登美彦が登場。このメンバーに森見…

日米図書館懇話会と中田邦造

タイトルからは想像できないが、金沢文圃閣の『戦後初期の出版社と文化人一覧第1巻』で、戦後初期の文化団体が判明する。同書で復刻された『戦後文化人名簿第三輯』(文化研究会、昭和21年6月)がそれだが、その中に日米図書館懇話会が出てくる。 日米図書…

科学知識普及協会の枝元長夫

だんだん枝元枝風(本名・長夫)の専門家になってきた。そんなものになってどうするのという気もするが、またまた枝元情報を発見した。戦後、日本宇宙旅行協会の理事長となった原田三夫の自伝『思い出の七十年』に出てくる。 たまたま鎌倉から東京に通う仲間…

広瀬正の弟広瀬雅彦は宇宙画家になったか

『宇宙塵』53号(昭和37年2月)に、「カット、先号から芸大美術学部学生の広瀬雅彦氏にお願いしています。広瀬正氏の弟さんで宇宙画家志望」とある。この広瀬雅彦、ググると、講談社青い鳥文庫の宮澤賢治の本にイラストを書いている同姓同名の人がいる。賢治…

黒岩比佐子『古書の森 逍遙—明治・大正・昭和の愛しき雑書たち』(工作舎)を逍遙し始める

黒岩さんの『古書の森 逍遙』をゲットしたので、読み始めた。工作舎の仕事なので、完璧といってよい本だろう。値段は古本好きのおっさんにはたやすい額だが、学生や若いサラリーマンにはやや高めかもしれない。しかし、この本だけは無理をしてでも買っておこ…

戦時下の雑司ヶ谷に潜む怪人

『現代出版文化人総覧昭和十八年版』の「現代執筆家一覧」から、豊島区雑司ヶ谷に住んでいた執筆家の生年、地番、著名でない人は現職、専攻を転記してみた。 秋田雨雀 明治16 3の22 伊藤孝一 明治36 1の56 在濠州日本公使館嘱託 石川謙 明治24 6の1146 東京…

柴野為亥知と黒田千吉郎

だんだん何を調べていたのか、わからなくなってきたが、この論文(「http://atlantic2.gssc.nihon-u.ac.jp/kiyou/pdf07/7-265-274-masuko.pdf」)に出てくる柴野中佐は、柴野為亥知だろう。黒田千吉郎中尉は、東京美術学校卒、陸軍報道部で戦争記録画を担当…

その後のCBAの松村雄亮

『週刊文春』の表紙が、空飛ぶ円盤だったので、CBAの松村雄亮のお話。志水一夫の「「空飛ぶ円盤」から「宇宙存在」で UFOは宗教になってしまった!」『いまどきの神サマ』(宝島社文庫、2000年2月)によると、 一九六七年末に突如一般会員を放り出して…

内閣情報部情報官柴野為亥知

柴野拓美の父親と思われる柴野為亥知。拓美は金沢生というので、父親も石川県人と見て、『石川県大百科事典』(北國新聞社、平成5年8月)を引くと、出てました*1。 柴野為亥知 しばのためいち 1896〜1959 旧陸軍軍人、内閣情報部主任。金沢市小立野の加賀藩…

神保町のオタ書誌

神保町のオタ。書物蔵氏命名の愛称は、「オタどん」。このオタどんが、「神保町のオタ」名義で活字デビューしたのは、『書肆アクセスという本屋があった』(右文書院、2007年12月)の「書肆アクセスへのメッセージ」であった。今の所、活字はこれだけだった…

朝日ワンテーママガジン『20世紀ニッポン異能・偉才100人』から消された広瀬正

中野翠は『月刊ASAHI』1992年7月号の「20世紀日本の異能・偉才100人」の広瀬正の項目で、 SF小説にはあまり興味はないのだが、それでも広瀬正の『マイナス・ゼロ』『ツィス』『エロス』『T型フォード殺人事件』は夢中になって読んだ。 と書いている…

三角寛を激怒させた宮本幹也の『魔子恐るべし』

KAWADE道の手帖『サンカ 幻の漂泊民を探して』所収の田中英司「まぼろしのサンカ映画『魔子恐るべし』」によると、鈴木英夫監督の「魔子恐るべし」は昭和29年6月封切り。原作は、宮本幹也の同名の作品で、『東京タイムズ』に28年6月21日から29年7月20…

日本初のUFO研究団体だった松村雄亮の空飛ぶ円盤研究グループ

日本のUFO研究史を書き換える発見かもしれない。某年鑑の昭和34年版に宇宙友好協会が出てくるが、その前年分を見ると、同協会は出てこないが、空飛ぶ円盤研究グループという団体について次のような記載がある。 空飛ぶ円盤研究グループ(Flying Saucer …

松村雄亮と初期の宇宙友好協会

昭和32年宇宙友好協会創立。初期の状況が、判明した。 宇宙友好協会 (Cosmic Brotherhood Association) (CBA) 事務局 東京都国分寺局内国分寺775 支部 京都、神戸他、各主要都市 設立年月日 昭和32年8月 目的 “空飛ぶ円盤”の研究を通じ、宇宙の実…

宇宙友好協会の松村雄亮

かつて、宇宙友愛協会という極左オカルト団体が存在した、あっ、「友愛」、じゃなかった、「友好」だった。この宇宙友好協会については、とりあえず、「ウィキペディア」*1を見ていただこう。1960年代、安保闘争ならぬ、円盤闘争が行われていたことがわかる…

起原と起源に違いはあるのか

『UP』6月号の瀬戸口烈司氏(古生物学者)「ダーウィンの著作は『種の起原』か『種の起源』か」が、面白かった。 昨年光文社から、"Origin of Species"の訳が『種の起源』として出版されたが、徳田御稔*1から「日本では丘浅次郎いらいの伝統で「種の起原…

加納一朗のデビュー作

『SFの手帖』によると、 加納一朗(かのう いちろう) 5 卒業後の主な職業、処女作:公務員、教科書出版社編集員。同人誌「かまらーど」などに関係、六〇年少年推理「白い墓地」でデビュー。「さ[ママ]びついた機械」(同)でSF進出。 6 主要作品、発…

柴野拓美の父と満洲映画協会

山口猛『哀愁の満州映画』に、昭和12年設立された株式会社満洲映画協会の設立経緯が書かれており、その中に映画対策審議会の審議委員や満映の準備委員だった関東軍司令部の柴野為亥知少佐なる人物が出てくる。この柴野少佐は、先日亡くなられた柴野拓美の父…

畏友書物蔵書誌

わが畏友書物蔵氏は、当初書物奉行と名乗っていた。南陀楼氏の『路上派遊書日記』(右文書院、2006年10月)の2005年9月18日の条に、同氏邸で開催された「一部屋古本市」に参加したメンバーとして、ブログ「書物蔵」の書物奉行氏が登場。同書には、森洋介氏へ…

広瀬正とスカイ・トーンズ

『広瀬正・小説全集』第6巻の月報で大谷羊太郎が「二重の大先輩」を書いていて、『ミュージック・ライフ』昭和32年5月に「広瀬正とスカイ・トーンズ」が紹介されているとある。詳しいことを書いておられないので、初出誌から記録しておこう。 とにかく、この…

SRの会と広瀬正

『SR MONTHLY』145号(1972年6月)の桂千穂「広瀬さんのこと」から。 八、九年前。長谷邦夫氏−いまやパロデイマンガの旗手−をカタラって、怪奇小説の同人誌を、もくろんだことがある。 最初だったか、二回目かの打合せのとき、現われたのが、広瀬氏…