神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

今橋映子「展覧会情報はどうやって手に入れるか」の補足

今橋映子編著『展覧会カタログの愉しみ』所収の「展覧会情報はどうやって手に入れるか」には、ネットや新聞のほか、雑誌として『ぴあ』、『芸術新潮』、『美術手帖』、『ギャラリー』があがっている。これは、主に美術館を対象としているので、博物館につい…

あれもSF、これもSFだった時代

かつて、「あらえっさっさの時代」、じゃなかった、「あれもSF、これもSF」と称された時代があった。SFの「浸透と拡散」を迎える前の時代で、市民権を得るためか、あの文学者のこの作品は、実はSFなのだとされた時代である。たとえば、『世界SF全…

森村泰昌が『美術手帖』を漁った大阪の古本屋とは

『美術手帖』3月号の坪内祐三と森村泰昌の対談「「ユレ」と「ブレ」後ろ向きで前へ進む」に、 森村 今日は「うえほんまちハイハイタウン」を一緒に歩いていただきました。(略)学生時代、それこそ『美術手帖』のバックナンバーを探していた古書店も駐車場…

昭和2年における雑誌の発行状況

未見だが、渡辺藤交(久吉)の日本心霊学会から『日本心霊』(大正8年1月1日創刊。旬刊)という雑誌が出ていたらしい。『昭和二年十一月末日現在新聞雑誌及通信社ニ関スル調』(内務省警保局)*1によると、8千部の発行。 その他の雑誌の一部をあげてみると、…

『婦人画報』記者列伝(その8)

生活社を創立した鉄村大二については、既に「daily-sumus」氏が言及している。鉄村が、『婦人画報』の記者であったか、確認できていない*1が、記者列伝の一人としてとりあげてみよう。まず、鉄村の経歴を『昭和人名辞典』(『第十四版大衆人事録 東京篇』(…

『婦人画報』記者列伝(その6)の補遺 

『婦人画報』記者の小佐井清平の没年が判明。「知人消息」『古人今人』(生方敏郎の個人雑誌)95号、昭和19年7月20日によると、 ●小佐井清平君逝く 小佐井君は日本新聞に創刊以来二十年一日の如く格勤されたのに、此二個月ばかり同紙にその名が見えぬから不…

『団体総覧』に見る戦前のおもしろ特種団体

『団体総覧』(大日本帝国産業総聯盟団体研究所、昭和9年9月)は、五山堂書店から復刻されている。同書の「特種団体」の章を見ると、南洋協会、社団法人日本図書館協会、風俗研究会、社団法人帝国ローマ字クラブなどについて詳しい説明があるほか、「其他の…

南天堂の経営を引き継いだ上田屋

森まゆみさんが、「松岡虎王麿の南天堂の経営が大正14年に取次の上田屋に経営が替わった」ことをなないろ文庫ふしぎ堂の田村治芳氏から聞いた*1と、『ちくま』1996年4月号に書いている。このことは「人と事業」『日本出版大観』(出版タイムス社、昭和5年10…

らんぼおと竹内好夫妻

竹内好といっても、学生時代にちこっと読んだくらい。最近日記をつらつら読んでいると、色々発見す。 昭和23年12月25日 真善美社へゆくと、もう閉店。内山へより、らんぼおへゆく、四時ころ。五時定刻、一同集る。実藤も来る。東方から上条、小見山、杉、三…

広瀬正の「後家探し」

先日の朝日の「売れてる本」は、瀧井朝世氏による広瀬正『マイナス・ゼロ』の紹介だった。全集の復刻後、担当編集者の瀧川修氏が、墓前に報告に行こうとしたが、墓が見つからなかったという。広瀬の来歴には不明な点が多いともあった。柳田泉ではないが、「…

「妻なく子なく家もなく」秋庭太郎

秋庭太郎の晩年を探ってみる。読売新聞昭和54年8月20日夕刊の「<永井荷風の考証三部作>をめぐって 秋庭太郎さんと1時間」によると、 「(略)あとは青年時代からの夢だった僧侶の生活に入り、浄土宗の本山で修業のあと、堂守りなどして一人静かにすごした…

小熊英二『1968』にあの古書店主が

何年も前の『×砦』という古書目録のあとがきにこんなことが書いてあったと思う。店主は、学生運動の活動家のブラックリストで企業の人事担当者向けのものを長い間捜し求めているという。そのリストには、かつて全共闘の活動家だった店主の名前が、糸井重里ら…

坊主になってた元日本大学図書館副館長秋庭太郎

秋庭太郎『考証永井荷風』がいよいよ来月14日岩波現代文庫から中村良衛氏の解説で刊行。これに関連して、川本三郎氏が、菅野昭正世田谷文学館長との対談で、 (略)今度も秋庭太郎さんの荷風伝も出るし。秋庭さんという方も面白い方でニューギニアで奇跡的に…

波屋書房と宇崎純一(補足)

金沢文圃閣から復刻*1された『日本出版大観』(出版タイムス社、昭和5年10月)の「人と事業」にも、宇崎純一に関する記述がある。 波屋書店[ママ] 宇崎純一氏 明治廿五年四月五日生/浪速区河原町一丁目一五五六 大阪市[ママ]の出身、少年時絵画に志し専ら斯…

『新・日本文壇史』に索引は付くのか

品川力はある対談で『日本文壇史』の索引について、次のように語っている。 著者の人柄をよく知っている親愛感から、広告が出るとソレとばかり買ってくるものに瀬沼茂樹『明治[ママ]文壇史』があります。編集者の保立和子女史には時々会っていますが、24巻の…

波屋書房と宇崎純一

大正十三年の時点で、難波河原町にあった波屋書房については、宇崎純一(ウザキ,スミカズ)の弟祥二が実際の経営者で、その後祥二は昭和4年に亡くなったという。この波屋書房の開業時期*1及びその後の状況が、『現代出版業大鑑』(昭和10年8月)*2で判明した…

「ぐろりあ・そさえて」社員山田新之輔と竹内好

竹内好の日記に「ぐろりあ・そさえて」が出てきた。 昭和15年1月12日 保田紹介の「ぐろりあそさえて」の人、『支那現代文学史』を出版せぬかと云ってくる。出版したきは山々なれど、稿なく研究なきを如何せん。 1月18日 「ぐろりあそさえて」の山田氏訪ねて…

ゼロ年代の展覧会カタログ

今橋映子さんに負けるが、多少展覧会好きのオタどんがゼロ年代のカタログを選んでみた。『平塚運一展』東京ステーションギャラリー 2000 『田中恭吉展』和歌山県立近代美術館 2000 『黒田辰秋展』豊田市美術館 2000 『石田収蔵』板橋区立郷土資料館、2000 『…

ゼロ年代の古本本

朝日のゼロ年代の50冊は、大著が多く、「そんな分厚いもの誰が読むんだ」という感があった。大澤真幸『ナショナリズムの由来』などは、さっぱり理解できなかったわしとしては、「う〜む」。新書も赤坂憲雄『東西/南北考』一冊だけか。新書ブームはどこへいっ…

黒岩比佐子さんネタ二つ

高橋秀晴『出版の魂 新潮社をつくった男・佐藤義亮』(牧野出版)の人名索引を見てたら、黒岩さんの名前が! 本文を見ると、独歩と未醒の関係については、黒岩さんの『編集者 国木田独歩の時代』(角川選書)に詳しいとある。 - 今週の黒岩さんの書評は、前坊…

オタどんが選んだゼロ年代の本

朝日に負けじと思いついた本を列挙。順不同(順位を付けるのは不可能)。山口昌男『内田魯庵山脈』晶文社、2001 黒岩比佐子『『食道楽』の人 村井弦斎』岩波書店、2004 小谷野敦『里見とん伝』中央公論新社、2008 林哲夫『喫茶店の時代』編集工房ノア、2002 …

里見とんと芥川龍之介が木下杢太郎を訪問した日

『日本近代文学館』234号、2010年3月15日所収の「大道弘雄宛書簡(六)」に、[昭和2年]5月16日付け木下杢太郎の大道宛書簡が掲載されている。これに、「二三日前芥川、里見が来て久振に会つた」とある。猫猫先生の「里見とん詳細年譜」によると、同月14日の…

南大曹・博一族

漱石が亡くなる前、治療に当たった3名の医師は、真鍋嘉一郎、宮本叔、南大曹。このうち南は、南胃腸病院長で、社会心理学者南博の父親に当たる。博は「又木の叔父の妻亀子は大倉喜八郎の孫」というので、調べてみると、確かに大曹の妻満子(明治23年生)は…

満鉄図書館員と内山若枝

川上初枝は若林不比等と結婚して、若林初枝となる。のち、若林と離婚又は死別して、日高輝忠と再婚。日高初枝となったはずだが、三村三郎によると日高みほと名乗っていたようである。このほか、小田秀人の戦後の回想によると、初枝は内山若枝と名乗っていた…

神戸市の後藤書店

三宮のセンター街を歩くと、何か欠けている気分がするようになった。そうだ、後藤書店がないのである。 2008年1月に閉店した後藤書店。『現代出版業大鑑』(昭和10年8月)*1によると、 後藤書店 後藤和平 明治28年2月12日生 神戸市葺合区熊内橋通一の六 神戸…

間宮不二雄と高嶋辰彦の国防研究室

わしの大東亜トンデモ学と誰ぞの大東亜図書館学。両者をつなぐ接点に間宮不二雄なる人がいた。 前田哲人編『間宮不二雄の印象』所収の高島辰彦「間宮さんの思出」によると、 間宮さんとの交友は昭和十三年、四年頃、私が参謀本部の課長で総力国防研究のため…

誰ぞの黄金古本活動

たまった原稿もチャッチャッと処理した誰ぞの黄金週間の予定。4月27日四天王寺春の大古本祭り 4月28日海文堂の古本市 4月29日一箱古本まつり(不忍ブックストリート) 4月30日世田谷文学館「星新一展」・東京古書会館 5月1日春の古書大即売会(京都) 5月2日…

満洲短歌会と若林初枝

昭和4年5月『満洲短歌』(満洲郷土藝術協会)創刊。創刊号に載った短歌。 菫咲かばふたゞび来むと乙女子の誓ひ愛しもはや咲けすみれ等 若林初枝川上初枝=若林初枝=内山若枝=日高みほが歌人だったらしいことは、昨年12月20日に言及したが、その歌が見つか…

ホシヅルの下に集まれ!世田谷文学館で星新一展

夢かと思った。世田谷文学館で今月29日〜6月27日まで「星新一展」開催。 今月29日14時〜15時には星マリナさん(星新一次女)×江坂遊(作家)の座談会「星新一から受け継いだもの<プレッシャー>のゆくえ」。事前申込みによる抽選150名。 30日18時30分〜19時…