神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(番外)

2 上林暁と小島威彦 上林暁には、全くと言っていいほど、興味はないのだが、五高で小島と同期生だったということで、その後の小島との交友には関心がある。 小島の『世界創造の哲学的序曲』(昭和11年1月)は、改造社の発行なので、同社の編集者であった上…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(番外)

解けないシュメールの最終定理 「情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎」の最終章をアップするまでに、調査不足で結局解けなかった謎のいくつかを報告しておこう。 1 便利堂とクラブシュメール 岩波書店アネックス2階に美術はがきギャラリー京都便利堂を…

お札博士スタールのトンデモ山脈(その9)

スタール博士も狩野亨吉も生涯独身であったが、「エルメスたんより古本!」と思っていたかどうか。スタールにはシアトルに妹がいて、その子供が戦後来日したようである。 「書物展望」(昭和25年8月)中の「木挽町たより」に、 故お札博士スタールの甥といふ…

お札博士スタールのトンデモ山脈(その8)

山口昌男『内田魯庵山脈』によれば、スタール博士は「昭和八年七月、七十六歳の歳で、第十六回の来日を行い、満州と朝鮮に旅して八月十一日東京帰着とともに発病し、三日後の十四日に他界」。博士は、だれぞ達みたいにコショテン依存症だったみたいでこの最…

お札博士スタールのトンデモ山脈(その7)

「スタール博士」でググると、「古書の森日記」を始め、130件もヒットするが、その中にスタール博士と大本教について言及しているものがあった。大本教の解剖については、故中村古峡先生におまかせするとして、別の教団とスタール博士の接触について述べ…

稲村徹元と関根康喜(関根喜太郎)

斎藤昌三『新富町多與里』(昭和25年1月、芋小屋山房発行。『斎藤昌三著作集第5巻』収録)中の「新富町多與里」附記によれば、 以上で「新富町だより」は終る。[昭和二十四年]五月には既述の如く木挽町に移転したが、従前通り火曜金曜は上京して、終日入り換…

お札博士スタールのトンデモ山脈(その6)

酒井勝軍や前田惇とともに、昭和4年に竹内文献を拝観した岩田大中の『人類之祖国 太古日本史』(昭和6年2月、平成2年10月復刻)にも、スタール博士の名前は登場する。 本文はお札博士として名高いシカゴ大学名誉教授フレデリツク・スタール氏が昭和5年10月19…

八木敏夫と関根康喜(関根喜太郎)

「書物展望」15巻2号(昭和23年10月)の「新富町たより」に、斎藤昌三は次のように記していた。 五月十四日は再三辞退したが河西君の斡旋と、土岐善麿、小島烏水二老の主催で、小生の還暦小宴が催され誠に光栄だった。当日の参会者は宮武八十二翁を初め、土…

中沢弘光と本間久雄

スタール博士の著書の挿絵なども描いている中沢弘光は『本間久雄日記』に何度か登場するが、そのうちの昭和34年1月18日の条から。 十時新宿諏訪町に中沢弘光氏を訪ふ。明治三十年代の洋画壇のこと、ラファエル前派の影響などについて質す。有益なる訪問なり…

お札博士スタールのトンデモ山脈(その5)

スタール博士と小谷部の交流は、スタールの晩年まで続いたようで、『日本及日本国民之起原 普及版』(昭和8年1月)には、「有名なるスタール博士の書翰の訳文」が掲載されている。 固より日本民族の起りは希伯来のローストトライブの一であるといふことは古…

お札博士スタールのトンデモ山脈(その4)

前田惇の登場した、『お札博士の観た東海道』(大正5年3月)には小谷部全一郎も顔を出す。大正4年11月2日から22日までのこの東海道行脚で、旅立ってすぐに、大井町の小谷部邸へ寄っている。明治43年以来だという松村介石とともに小谷部邸前で3人が並ぶ写…

お札博士スタールのトンデモ山脈(その3)

昭和5年12月7日付けの東京日日新聞朝刊には、おどろおどろしい見出しが躍る。 「謎の人物跳躍する怪奇な天津教庁」「面妖な神代文字と古器 明道会事件から飛火・警視庁活動」。 本文に眼をやると、 「市外松沢村赤堤五三六皇国神代文字仮研究所、大日本藩札…

吹田順助と本間久雄

『本間久雄日記』(平田耀子編著)に、独文学者吹田順助の逝去に関する話が出てくる。昭和38年7月24日の条によれば、 午後一時半、車にて伝通院、吹田氏告別式にゆく。(中略)帰途、早稲田行の電車に乗る。谷崎精二氏に逢ふ。氏も亦吹田氏の告別式のかへり…

お札博士スタールのトンデモ山脈(その2)

柳田國男は、スタールの第2回訪日(ただし、山口昌男『内田魯庵山脈』によれば、大正2年は第3回訪日)について、 今度は日本で又藩札の蒐集をしたいと言つて居る。妙なことに眼が留まつたものである。 と記している*1。 スタールのこの藩札の蒐集に影響を与…

お札博士スタールのトンデモ山脈

「情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎」の最終回(実は、まだ終了していないのだよ)もアップしなければいけないのだが、「古書の森日記」(黒岩比佐子さん)で、「お札行脚」が紹介され、スタールのネタを仕込んであったのを思い出したので、そちらを先…

鴎外のトンデモ、露伴の非科学(その5)

鴎外の日記には、勿論トンデモではない人、例えば山田珠樹や、金尾種次郎なども登場して楽しめるのだが、そろそろ幸田露伴の出番としよう。 片岡貢司「太平洋のムー大陸」(『公論』昭和17年5月号所収)によれば、 この象形文字について傾日私は幸田露伴…

鴎外のトンデモ、露伴の非科学(その4)

亀井貫一郎については、2月6日に言及した怪人だが、この人と、その父親茲迪も鴎外の日記に出てくる。 明治41年2月22日 午後亀井伯第に往く。家政相続人補欠、埋蔵金処分等の件を議す。亀井茲迪破産の顛末を聞く。 同4月26日 亀井伯の第に往き、亀…

鴎外のトンデモ、露伴の非科学(その3)

6月6日に言及した日本人=シュメール人同祖論『日本の民族』(昭和5年4月刊行)の著者、戸上駒之助も登場する。 明治34年9月7日 戸上駒之助東京より至る。市病院長となれるなり。 大正6年12月29日 晴。寒甚。発賀正書。(中略)戸上駒之助夫妻…

鴎外のトンデモ、露伴の非科学(その2)

えっ、「二つぐらいじゃなあ」ってか・・・ まだまだあるよ! 大正2年1月7日の条には、「上山草人、伊庭孝来てFaust Erster Teilを上場せんことを講ふ。夜伊庭孝又仲木貞一を伴ひて来訪す。」とある。 『南洋諸島の古代文化』(チャーチワード著)の訳者…

鴎外のトンデモ、露伴の非科学

今回のタイトルは、勿論、長山靖生『鴎外のオカルト、漱石の科学』のパロディ。坪内祐三のマネをして、色々日記を読んでいると、おもしろい発見がある。鴎外の日記にトンデモない人や面白い人が出てきたので、露伴がらみのトンデモネタと併せて紹介してみよ…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その26)

12 トンデモ・バスター島田春雄がシュメールを斬る!(承前) 「特高月報」の「運動日誌」に、面白い記事があった。 昭和18年9月2日 スメラ学塾に在りては指導者小島威彦の引退以来活動消極的となり主として文化方面運動の活動を行ひつつあるところな…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その25)

12 トンデモ・バスター島田春雄がシュメールを斬る!(承前) 島田春雄の『日本語の朝』(昭和19年6月)所収の「常若(とこわか)なる古典」(初出は「公論」昭和17年7月号)によると、 近時日本に於て唱道されつつある奇々怪々なる古代日本論を見よ…

伝書鳩と均一小僧は古本道楽が過ぎてコショテン依存症に!?

日没後は、ふらふらしないことにしているのだが、昨日はお忍びでアンダーグラウンドブック・カフェのトークショー(黒岩比佐子さんと岡崎武志さん)へ。 最初は緊張されていた黒岩さんを巧みにリードされた岡崎氏はさすがと言うべきか。内容は、一言で言えば…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その24)

12 トンデモ・バスター島田春雄がシュメールを斬る!(承前) 「全然違ふ」、白を切る藤澤だが、既に見たように、小島編集の「ナチス叢書」への執筆や、『新若人』への執筆や小島との対談など、小島のグループとは密接な関係があった。 また、この偽史論争…

アンダーグラウンド・ブックカフェ 地下室の古書展

さて、明日はいよいよ、黒岩比佐子さんと岡崎武志さんの出番。 今、一番熱い、この「あづま女となにわ男」によるトンデモなくオモロそうなセッションの開催。→地下室の古書展 かつて、『新・日本SFこてん古典』(徳間文庫)で、ヨコジュンと會津信吾は、次の…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その23)

12 トンデモ・バスター島田春雄がシュメールを斬る! 偽史論争で藤澤親雄をやっつけたり、『日本語の朝』の著者である国学院大学教授兼附属図書館長島田春雄が、書誌学者島田翰の次男だったということは、書物奉行さんや書誌鳥氏にだけ(?)ウケたみたい…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その22)

11 戦時下の出版社アルスとスメラ学塾(承前) 末次信正は、海軍大将、昭和15.5〜19.2スメラ学塾頭。 於田秋光(陸軍中佐)は、スメラ学塾講師、昭和16年11月に第16軍参謀(作戦主任)。 刊行されたかどうか不明であるが、広告によればその…