神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その21)

11 戦時下の出版社アルスとスメラ学塾(承前) 川上健三は、日本地政学グループの一員。明治42年生まれ、昭和8年京都帝国大学文学部史学科(地理学)卒。台湾で一時教職に就いた後、参謀本部、大東亜省へ勤務。戦後は、外務省条約局参事官、ソ連公使な…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その20)

11 戦時下の出版社アルスとスメラ学塾 出版界には(にも?)疎い私は、アルスといっても、よく知らないのだが、ググってみると、「古書の森日記」の2月8日に、「アルス(ARS)とはラテン語で芸術を意味し、北原白秋と弟の北原鉄雄が大正4年に創立した…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その19)

10 スメラミクニの皇族高松宮殿下 佐野眞一の『旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三』は読んだかな。 同書には、 戦後、高松宮が困窮生活に陥るのを心配して、敬三が高松宮の旧邸を光輪閣として一般に開放し、国際レセプション会場などに提供するとともに、高松…

桜澤如一と関根康喜(関根喜太郎)(その4)

黒岩さんに言われて、今更ながら登場人物が多すぎることに気づいた。名前を出したのに、ネタに使うのを忘れてしまうのであった。 (その1)に登場した久邇宮朝融王殿下は、2月21日に言及したけれど、平凡社創設者下中彌三郎と色々行動を共にした人。櫻澤…

桜澤如一と関根康喜(関根喜太郎)(その3)

柴田宵曲の「柴田宵曲翁日録抄」(「日本古書通信」昭和59年5月号)中、昭和17年11月10日の条に、 森氏より電話あり、誠之書院の関根氏との会合けふになりたるよし、午後一時頃来訪、いろいろ話す。四時頃出でて驪山荘に行く。関根氏、後藤興善氏在…

桜澤如一と関根康喜(関根喜太郎)(その2)

関根と書物展望社とは、関係があるどころではなく、「書物展望」に頻繁に執筆している人物であった。昭和13年1月号の初登場(「読書界の現状とその将来」)における紹介では、「日本読書新聞社総務部長」とされている。同社は、昭和12年1月に創立され…

桜澤如一と関根康喜(関根喜太郎)(その1)

桜澤如一が顧問時代の食養会において、会長だった関根康喜については、3月15日に言及したけれど、小田光雄氏が既に「日本古書通信」で2回書いている(「関根康喜=関根喜太郎=荒川畔村」(平成16年10月号)、「池本三喜夫と関根喜太郎」(17年7…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その18)

9 ダ・ヴィンチ展覧会・コード 昭和17年7月10日から10月10日(注)にかけて、上野池端の産業会館で開催された「アジア復興レオナルド・ダ・ヴィンチ展」。 主催は、日本世界文化復興会。情報局、陸海軍省が後援した。 「レオナルド・ダ・ヴィンチ…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その17)

8 ムー大陸の怪人と『新若人』の快人(承前) 親猶主義者とされる藤澤だが、『新若人』(昭和17年10月号)の「近代の終焉と新世界の誕生」では、次のようなことを言っていた。 皇国は唯むやみにユダヤ人を排斥せんとするものではない。彼等が世界各国か…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その16)

8 ムー大陸の怪人と『新若人』の快人 雑誌『新若人』には、実はもう一人、重要な人物が、執筆者や、座談会のメンバーとして登場している。 その男は、 元内閣情報部の嘱託で、(注1) 国民精神文化研究所の政治学研究嘱託、(注2) 日本で最初のゲオポリ…

三角寛、佐藤栄作首相にセブリバを売りつける!?

『佐藤栄作日記』によると、 昭和31年7月28日 晴。午前中は三角寛(原注)をよみ、(後略)。 原注:作家 昭和38年3月30日 正午三角寛氏(原注)宅で漬物料理で中[ママ]食。面白い経験をしたもの。 原注 作家、曹洞宗桂木寺住職。 昭和43年5月…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その15)

(番外) 京大地政学 対 東大地政学 『辺境に映る日本』(福間良明著)から 当時の地政学においては、江澤[譲爾]や飯本[信之]とは異なる論理の主張を意図したものがあった。それは、「日本地政学」「皇国地政学」を企図する一派で、小牧實繁(京都帝大)、米…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その14)

7 旺文社社長赤尾好夫とクラブシュメールの宴の日々(承前) 『雪松・高嶋辰彦さんの思い出』(森晴治編)中の「高嶋さんと総力戦」(間野俊夫)によると、 少壮学者の一部を専属の嘱託とし、文部省の「国民精神文化研究所」内に間借りして「国防研究室」を…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その13)

7 旺文社社長赤尾好夫とクラブシュメールの宴の日々 旺文社がまだ、欧文社と称した昭和15年9月に創刊された雑誌『新若人』。『言論統制』によれば、「陸軍情報部が全面的にバックアップした総合雑誌」であり、同誌への鈴木庫三情報官の「熱の入れ方は尋…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その12)

6 実はトンデモ本も書いてた仲小路彰 仲小路は、実はトンデモ本の関係者には多少知られている存在なのであった。 『歴史を変えた偽書』(ジャパン・ミックス編)中「偽史と野望の陥没大陸−”ムー大陸の伝播と日本的受容”」(藤野七穂)によれば 昭和17年5…

わすも、お忍びブックストリートした!

地下鉄千代田線に乗ると、足元の紙袋に本を詰め込んだ母娘(?)連れが、やおら不忍ブックストリートのマップを取り出し、広げているではないか。 一箱古本市の店主にしては、11時を過ぎている。出遅れた店主か、はたまた追加の本を持ってきたのか。謎の母…